2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール等濫用薬物のフラッシュバック現象の分子機構―マイクロRNAの役割
Project/Area Number |
21790611
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
水尾 圭祐 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90459735)
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Keywords | マイクロRNA / アルコール / 薬物依存 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 側坐核 / 腹側被蓋野 |
Research Abstract |
本研究では、前年度に得られたエタノール車回投与によるヒストンアセチル化の増加がどの脳部位で生じているのかを検討する目的でまず免疫染色を行った。その結果、エタノール単回投与12時間後の側坐核、腹側被蓋野および扁桃体領域においてヒストンアセチル化の増加が認められた。このことより、エタノール投与によるヒストンアセチル化の増加は腹側被蓋野を起始部とする中脳辺縁ドパミン神経において生じていると考えられる。次に、エタノール投与後の脳内ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の変化について検討した結果、エタノール投与12時間後におけるHDAC4の有意な減弱が認められた。さらに、HDAC阻害薬投与後のマウス脳内においてmiR-124の有意な上昇が認められた。これらのことより、エタノール投与後の脳内におけるマイクロRNAの発現変動にヒストンのアセチル化が一部関与している事を明らかにした。また、マウスを用い新たにエタノールの依存及び再燃モデルを確立し、これらのモデル動物の脳内におけるマイクロRNAの発現変化をmiR-124,miR-132の2種のマイクロRNAに対するプローブを用いてnorthern blot法にて検討した。その結果、依存モデル動物の側坐核を含む前脳辺縁部および腹側被蓋野を含む中脳底部においてmiR-124の有意な発現上昇が認められた。しかしながら、扁桃体領域および前頭皮質領域においては有意な変化は認められなかった。また、miR-132についてはこれらの領域から検出されなかった。このことより、エタノールの依存形成に中脳辺縁ドパミン神経系におけるマイクロRNA、特にmiR-124の上昇が関与する可能性が示唆された。
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