2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790614
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
金涌 佳雅 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 助教 (80465343)
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Keywords | 社会医学 / 死体温 / 死後経過時間 / MRI |
Research Abstract |
平成21年度に実施したブタ頭部のMR温度画像の実験的な撮像結果に基づき,ヒト死体での脳内温度分布の実測を目的とした8対の多点温度センサーを作製・開発した。これにより,世界でも初めてのヒト死体頭蓋内温度分布の実測調査が可能となった。ただし,精度を追求したことにより,実験系は複雑になったため,利便性に欠けるところがあり,実務応用に向けて死後経過時間推定に重大な誤差を生じさせない程度に熱電対の数を減少させたより簡易な多点温度センサーの開発も今後は必要になるかと思われる。 また,MR温度画像撮像にあわせて実施したブタ頭部の拡散強調画像(b値=600,800,1000,1200)の画像解析を進め,死後変化による死体内水分の就下や結合水の離開による自由水の増加,顔面筋肉の死後硬直による頭部内の身体部位の変動を明らかとし,これらは画像解析で無視できない誤差要因と認められた。また,拡散強調画像からADCマップを計算すると共に,拡散強調画像での各ボクセルでの拡散係数の平均,分散,ダイナミックレンジ,変化量を2次元分布として可視化させたADCマップ処理画像の作成も行った。 これらの画像処理は,今後の温度画像処理に当たり重要な基礎知識になるばかりではなく,現在,社会的にも注目されている死亡時画像診断(Ai)の読影においても把握しておくべき死後変化による画像の修飾変化として,大変貴重な知見になるものと考えられる。
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