2009 Fiscal Year Annual Research Report
イメージング質量分析による乱用薬物の体内分布に基づく毒性評価法の構築
Project/Area Number |
21790616
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
桑山 健次 National Research Institute of Police Science, 附属鑑定所, 研究員 (40356233)
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Keywords | 社会医学 / 薬学 / 分析科学 |
Research Abstract |
乱用薬物には規定された毒性試験が存在しないため、毒性に関する情報が少なく、迅速に正確な毒性評価ができない場合がある。そこで、各薬物について、規格化した毒性試験を行い、その結果を集約して、乱用薬物毎の毒性データシートを作成し、乱用薬物の毒性評価法の構築を目指す。まず、マウスに薬物を投与し、薬物の影響による運動量、体温変化等を調べる。次に、臓器を摘出し、MALDI-MS/MSによるイメージング質量分析及びLC-MS/MSによる臓器中薬物濃度の測定を行う。イメージング質量分析の画像データと運動量、体温、致死量、薬物濃度等の数値データを集約し、どの薬物がどの部位に蓄積しやすいか、どのような毒性が予想されるか等を評価する。 平成21年度は、薬物によるマウスの生理学的変化の測定法の検討及びイメージング質量分析のためのマトリックス試薬噴霧法の条件検討を行った。 マウスを回転かごに入れ、赤外線カメラでマウスの行動を常時撮影・録画し、異常行動等があった場合は、その状況と時間をデータシートに記録するとともに、一定時間ごとの回転数を運動量とした。体温測定については、各種体温計を用いて測定部位による測定値の違いや安定性を検討した。 マトリックス試薬噴霧の再現性向上のため、薬物を滴下した金属プレートをターンテーブルで周期的に回転させながら、一定位置に固定したエアブラシからマトリックス試薬を噴霧した。マトリックス試薬の種類、噴霧の時間・速度・角度、ターンテープルの回転速度、エアブラシと金属プレート間の距離等を変化させ、噴霧時の試料の表面状態を顕微鏡により観察した。マトリックス試薬の噴霧量、マトリックス層の厚さ、薬物の検出感度等の関係性を調べ、噴霧条件の最適化を図った。
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