2011 Fiscal Year Annual Research Report
イメージング質量分析による乱用薬物の体内分布に基づく毒性評価法の構築
Project/Area Number |
21790616
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
桑山 健次 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40356233)
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Keywords | イメージング質量分析 / 乱用薬物 / 体内分布 / 毒性 / メタンフェタミン / MDMA |
Research Abstract |
違法薬物のほとんどは、規定された毒性試験を免れて流通しているため、毒性に関する情報が少なく、迅速に正確な毒性評価ができない場合がある。そこで、各薬物について、規格化した毒性試験を行い、その結果を集約して、乱用薬物毎の毒性データシートを作成し、乱用薬物の毒性評価法の構築を目指す。 まず、マウスに薬物を投与し、薬物の影響による運動量、体温変化等を調べる。次に、臓器を摘出し、MALDI-MS/MSによるイメージング質量分析及びLC-MS/MSによる臓器中薬物濃度の測定を行う。イメージング質量分析で得られた薬物分布の画像データと運動量、体温、致死量、臓器中薬物濃度等の数値データを集約し、どの薬物がどの部位に蓄積しやすいか、どのような毒性が予想されるか等を評価する。 平成23年度は、3,4-methylenedioxymethamphetamine(MDMA)によるマウスの運動量及び体温変化の測定、LC-MS/MSによる臓器中薬物濃度の測定、イメージング質量分析による臓器内薬物分布測定を行った。MDMA投与時(19mg/kgまたは58mg/kg)と生理食塩水投与時のマウスの運動量及び体温を比較したところ、いずれの投与量でも運動量の有意な増加が認められた。9分割した脳及び腎臓の断片中の薬物及び代謝物濃度を測定したところ、脳では脳幹付近、腎臓では中心(腎盂)付近に相当する断片でMDMA及び主代謝物が高濃度であった。また、臓器内分布も同様の傾向を示し、LC-MS/MSによる臓器中薬物濃度とMALDI-MS/MSによるイメージング質量分析の結果に相関が認められた。 昨年度検討したメタンフェタミンでの結果と比較すると、臓器中薬物濃度及び臓器内分布について同様の傾向が認められた。他の薬物についても、本研究で規格化した毒性試験法を用いてデータを取得し、毒性データシートの拡充を進めている。
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Research Products
(4 results)