2010 Fiscal Year Annual Research Report
Sirtuin遺伝子の抗老化作用による血管障害抑制機構の解明
Project/Area Number |
21790621
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (20431869)
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Keywords | Sirt1 / eNOS / 血管老化 / 血管障害 / 血管内皮細胞老化 |
Research Abstract |
血管保護作用を有する薬剤(降圧薬、脂質低下薬、インスリン抵抗改善薬、レズベラトロール、エストロゲンなどの性ホルモン、およびその誘導体(SERM)、骨粗鬆症治療薬)を細胞に加えた際のSirt1-eNOSによるそのメカニズム関与について検討を行った。すでにPDE3阻害剤(シロスタゾール)によるSirt1-eNOSの効果について確認し報告した(Ota H et al.ATVB 2008, JACC 2009)。脂質低下薬(アトルバスタチン、ピタバスタチン)の血管老化抑制作用も確認し報告した(Ota H et al.ATVB 2010)。具体的には、ヒト血管内皮細胞において、これらの薬剤がeNOSの活性を優位に上昇させること、またその活性化、発現上昇によりSirt1の発現が上昇、血管壁細胞老化、障害を抑制しえることを確認した。薬剤による細胞老化に対する影響は、増殖能、形態学的変化、senescence-associated-βgalactosidaseの染色およびウェスタンブロットを用いている。in vivoの系としては老化研究で汎用されているパラコート投与マウスやSTZ糖尿病マウスを用いて示した。更にはSirt1の発現上昇が、ミトコンドリアの産生増加を促し、抗酸化ストレス作用をしめすカタラーゼやSODの発現上昇をもたらすことが示せた。Sitr1-eNOSを介した抗老化メカニズムの関与について、PDE3阻害剤(シロスタゾール)、抗高脂血症薬(アトルバスタチン)やレズベラトロールについては確認できた。今後さらに他の薬剤についても検討中である。今回の我々の研究により、高齢者で重要な位置を占める循環器疾患、つまり血管老化、血管病変への予防、治療へとアプローチを進めていく過程の中で、血管障害、細胞老化という観点からのSirt1-eNOSを標的とした検討により、疾患の予防、治療法や普遍的な老化メカニズムを解明するためにも非常に重要であったといえる。
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