Research Abstract |
ヒト老化現象に極めて類似したモテル、α-klotho遺伝子欠損マワス(klothoマウス)の開発によって,老化に伴う様々な表現型の解析が行われてきた.その一つに生殖器機能低下が認められる.そこで婦人科で頻用される和漢薬「当帰芍薬散」の生殖器機能低下に対する抗老化作用について解析することを目的とした.まず,本研究で用いた当帰芍薬散の成分解析を,HPLC/ダイオードアレイ/MSを用いて行った.当帰芍薬散は,当帰,芍薬,川〓,沢瀉,白朮,茯苓の6生薬より構成され,当帰由来のSenkyunolide I Senkyunolide F, Xanthotoxin, Z-Ligstilide,芍薬由来のPaeoniflorin, Oxypaeoniflorin, Galloylpaeoniflorin, Benzoylpaeoniflorin, Albiflorin, (+)-Catechin, Benzoic Acid,川〓由来のCnidilide, Neocnidilide, Ferulic Acid, Pregnenolone, Senkvunolide A,白朮由来のAtractylenolide III,茯苓由来のCostunolideを確認した.引続き沢瀉,白朮,茯苓由来成分の解析を行っている.また,klothoマウスは、発育不全による生殖不能が認められている.当帰芍楽散には卵巣・子宮重量回復作用があることを報告していることより,klothoマウスに当帰芍薬散を経口投与した.Wild Typeマウスに比べてklothoマウスの卵巣・子宮重量は有意に減少したが,当帰芍楽散投与群はklothoマウスに対して優位な回復を示した.これらの結果より,低女性ホルモン状態の老年期に発症する疾患に対して有効である可能性が示された.
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