2009 Fiscal Year Annual Research Report
鍼刺激による皮膚血管拡張反応の機序について―マイクロダイアリシス法による検討―
Project/Area Number |
21790636
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Research Institution | Kansai College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
木村 研一 Kansai College of Oriental Medicine, 保健医療学部, 講師 (50353040)
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Keywords | 代替医療 / 鍼灸 / 皮膚血管 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
鍼刺激局所の皮膚血管拡張反応はこれまで感覚神経の軸索反射を介して神経終末からSPやCGRPなどの血管拡張物質が放出されることによって局所の血管拡張反応が起こると考えられているが詳細な機序は複雑で不明な点が多い。本研究では鍼刺激による皮膚血管拡張反応を経穴部の近傍の非経穴部で比較し、次に感覚神経の軸索反射による皮膚血管拡張反応の関与について検討した。健康成人12名を対象とし、左前腕内側の郡門穴と近傍の非経穴部とで鍼刺激による皮膚血管拡張反応を測定した。鍼刺激は10分間の置鍼を行った。次に健康成人8名を対象に軸索反射の関与を明らかにするためにリドカインクリームで処置した領域と無処置部とで鍼刺激による皮膚血流反応を比較した。皮膚血流画像は左前腕内側で2cm×5cmの範囲を1分毎に連続測定した。皮膚血流は単位面積あたりの平均値を平均血圧で除した皮膚血管コンダクタンス(CVC)を評価した。面積については測定終了前5分の平均値を下限値として面積の経時変化を評価した。リドカインクリームの麻酔効果について機械的刺激に対する感覚閾値をvon Frey hair を用いてリドカインクリーム処置部と無処置部で比較した。 鍼刺激直後に皮膚血流はピーク値に達したのち減少し、約30分後にプラトーに至る傾向を示した。郡門穴と近傍の非経穴部ではCVCや面積の経時変化に有意差は認められなかった。リドカインクリーム処置部では感覚閾値の上昇が認められたが、CVCや面積の経時変化は無処置部と比較して有意差を認めなかった。以上の結果から鍼刺激による局所での皮膚血管拡張反応は、同一の刺激条件であれば経穴部と非経穴部で差異もないと考えられた。また、鍼刺激による皮膚血管拡張反応には感覚神経の軸索反射を介する血管拡張反応以外のメカニズムも関与していることが示唆された。
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