2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪液質における食欲不振に対する六君子湯の有効性及び作用機序の検討
Project/Area Number |
21790637
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
米良 貴嗣 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 助教 (20533053)
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Keywords | 六君子湯 / 悪液質 / 東洋医学 / 急性炎症 / 食欲不振 / 体重減少 / 漢方薬 / リポポリサッカライド |
Research Abstract |
悪液質は食欲不振と逆説的なエネルギー消費の増加による除脂肪体重と脂肪重量の減少からなる代謝障害で,癌,AIDS,心不全,腎不全,炎症性疾患など様々な病態によって引き起こされることが知られている.近年グレリン及びグレリン受容体作動薬の投与によって悪性腫瘍性悪液質による摂食量低下と除脂肪体重の低下を改善することが報告されている.一方,わが国で上部消化管症状の改善薬としてその効果が認められて使用されてきた漢方薬である六君子湯は,5-HT2受容体拮抗作用を介したグレリン作動性の食欲不振改善作用を持つことが明らかとなっている.本研究では平成21年度は悪液質による食欲不振に対する六君子湯の有効性の検討を行うこととし,まずはリポポリサッカライド(LPS)の腹腔内投与による急性炎症による食欲低下モデルへの六君子湯の効果を検討した.実験はWistar系成熟雄ラットに六君子湯の経口前投与(投与量は1000mg/kg体重.投与方法はLPS投与の1時間前に1回or 16時間前と直前に2回)を行った.コントロール群には同時刻に同量の蒸留水の投与を行った.六君子湯の前投与後,ラットには生理食塩水に溶解したLPS (250,500 or 1000μg/kg体重)もしくはvehicle(生理食塩水)の腹腔内投与を行った.LPS投与から24時間後の体重変化、摂食量,尿量,糞量の測定を行った.LPS投与後の24時間の摂食量はvehicle投与群と比べて,いずれのLPSの投与量においてもLPS投与群において有意に低下した,しかし,これらのLPS投与群において六君子湯投与による摂食量の有意な改善はいずれのLPS投与量においても認められなかった.今後、実験モデルの再検討が必要である.
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