2009 Fiscal Year Annual Research Report
担癌生体におけるナイーブT細胞の分化とその制御に関する研究
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21790638
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石川 剛 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学部, 講師(寄附講座) (90372846)
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Keywords | 養子免疫療法 / ナイーブT細胞 |
Research Abstract |
ナイーブTリンパ球を使った養子免疫療法(ACT)の方が、分化したリンパ球を移入する従来のACTより強い抗腫瘍効果を発揮することが動物モデルで報告され、その臨床応用が期待さている。しかし、ナイーブTリンパ球の担癌生体内での動態・分化についての詳細な検討は行われていない。そこでナイーブTリンパ球の担癌生体内での動態・分化に関してマウス大腸癌皮下移植モデルを使って解析を行った。また、これまで我々が行ってきた温熱療法が、ナイーブTリンパ球の効果を増強するのかについて検討した。さらに、有効なナイーブTリンパ球の培養方法についても検討した。 ナイーブTリンパ球が移入後担がん生体において、抗腫瘍免疫の観点から望ましくない分化すなわちTregへの分化に向かわないか危惧されるが、われわれの実験モデルにおいては、皮下腫瘍の免染、所属リンパ節および脾臓のFCMによる解析にて、Tregへの分化誘導はほとんど起こっていないことが確認された。ナイーブTリンパ球が担がん生体内においてエフェクターTリンパ球に分化するのか、Tregに分化するのかは、ナイーブTリンパ球によるACTをヒトへ臨床応用する上で最も重要なことであり、この研究の意義は非常に大きいと考えている。また、温熱療法との併用においても、相乗的に抗腫瘍効果を発揮することがマウス皮下移植モデルで確認された。ナイーブTリンパ球の培養方法については、従来のリンパ球拡大培養法を改良し、IL-15、IL-21、抗CTLA-4抗体などを使って行っているところであり、IL-15や抗CTLA-4抗体は拡大培養効率を有意に上昇させる効果があることを確認した。次年度は、これらサイトカイン、抗体を使ってナイーブTリンパ球比率を上昇させ、新たなナイーブTリンパ球培養法を確立し、in vivoのモデルにおいては、ナイーブTリンパ球の生体内での増殖能、所属リンパ節へのホーミング能についての検討を加えたい。
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Research Products
(4 results)