2010 Fiscal Year Annual Research Report
担癌生体におけるナイーブT細胞の分化とその制御に関する研究
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21790638
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石川 剛 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90372846)
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Keywords | 養子免疫療法 / ナイーブT細胞 / 制御性Tリンパ球 |
Research Abstract |
ナイーブTリンパ球を使った養子免疫療法(ACT)の方が、分化したリンパ球を移入する従来のACTより強い抗腫瘍効果を発揮することが動物モデルで報告されているが、ナイーブTリンパ球の担癌生体内での動態・分化についての詳細な検討は行われていない。これまで我々はナイーブTリンパ球の担癌生体内での動態・分化に関してマウス大腸癌皮下移植モデルを使って解析を行っており、前年度までの研究で、移入したナイーブTリンパ球は担癌生体において、Tregへはほとんど分化しないことが、皮下腫瘍、所属リンパ節の免染、FCMによる解析にて判明した。22年度の研究では、ナイーブTリンパ球の期待される特性である、生体移入後の腫瘍局所への高い集積能および増殖能に関しての検討をおこなった。ナイーブTリンパ球をCSFEでラベルし、担がんマウスの尾静脈より投与し、腫瘍内および所属リンパ節での増殖能を、成熟・分化したリンパ球を多く含む活性化リンパ球(LAK)投与群と比較した。この結果、当初予想したとおり、移入したナイーブTリンパ球はLAKと比較して、所属リンパ節に多数集積し、同部においてより高い分裂能を示すことが明らかとなった。これは担癌モデルにおけるナイーブTリンパ球移入療法の有用性を裏付ける根拠として、臨床的意義は極めて大きいものと考えている。さらに、本研究と関連して、ACTが宿主の免疫機能に与える影響について、ACTをうけた各種進行癌患者の末梢血を用いて検討したところ、進行癌患者においても、ACTの介入により、末梢血のPHA刺激によるIFN-γやTMF-α産生能は亢進し、Tregは減少することが明らかとなった。さらに、ACT介入後にIFN-γやTMF-α産生能が亢進した患者では生命予後も良好なことがわかり、ACTの効果予測のサロゲートマーカーとなる可能性も示唆された。
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