2009 Fiscal Year Annual Research Report
バレット食道および食道腺癌における新しい分子マーカーの同定と新規治療法の開発
Project/Area Number |
21790641
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
盛一 健太郎 Asahikawa Medical College, 医学部, 助教 (70455715)
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Keywords | バレット食道 / 食道円柱上皮化生 / メチル化異常 / ゲノム不安定性 / H.pylori |
Research Abstract |
1.バレット食道における種々の分子マーカーの同定我々のpreliminaryな研究から,バレット食道癌の発癌機構の最初の段階である円柱上皮化生粘膜(CLE)にすでに異常があることを突き止め,これを中心に解析を行った.1)CDX2は15例(34.9%)に陽性で,HP感染例で有意に発現頻度が高かった(10例,23.3%)(p<0.05).Das-1抗体は7例(16.3%)に陽性であったが,HP感染との有意な関連はなかった.2)ゲノム不安定性を示した症例は無かった.メチル化異常の頻度はhMLH1が0%,E-cadherinが2.4%,p16が2.7%,APCが32.6%,Runx3が48.8%でありAPC・Runx3のメチル化異常は,他の遺伝子のメチル化異常と比較して有意に高かった(p<0.005,p<0.0001).いずれもHP感染との有意な関連性は認めなかった.CLEにおいて既にAPC・Runx3遺伝子のメチル化異常を高頻度に認めたこと,CDX2発現はHP感染例に多く認めたことから,APC・Runx3のメチル化異常はCLEの発生に,またDas-1抗体の認識する大腸形質と腸上皮化生の形成に係わるCDX2発現はCLEから腸上皮化生粘膜への進展に関与する可能性が示唆された.また,HP感染はCLEにおけるCDX2発現に関与する可能性が考えられた. 2.バレット食道におけるH.pylori感染率と分子マーカーのH.pylori除菌後の発現変化の解析 CLEにおけるHP感染率は43例中18例(41.9%)であった.HP除菌後の分子マーカーの発現変化については,現在経過観察中である. 3.ラットバレット食道モデルを用いた上記分子マーカーの解析 マウスのバレット上皮モデルは,現在まで確立されていない.しかし,今後の検討内容を考慮して当初予定していたラットではなくマウスでのモデル作成を試みることとした.現在までに3匹(14匹中)で作成に成功した.ただし,今のところ確率が低いため至適条件を検討中である. HVJ envelope(HVJ-E)を用いたtransfectionの検討ではモデル作成に時間がかかっているため 予備実験として正常のBALB/cマウスに対してGFPを導入して食道胃接合部の粘膜内に良好なGFP導入が確認されている.
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Research Products
(3 results)