2009 Fiscal Year Annual Research Report
膵炎関連コピー数変異の網羅的解析とスクリーニング系の確立
Project/Area Number |
21790646
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粂 潔 Tohoku University, 病院, 医員 (30431563)
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Keywords | 膵炎 / 遺伝子異常 |
Research Abstract |
慢性膵炎は非可逆性、進行性の疾患と考えられており、その病態はいまだに不明である。また、膵炎関連遺伝子異常の保有者では膵癌発症の危険性が高まることが指摘されている。早期に診断し、その進行を抑制する治療法の開発が急務である。膵炎に関連する遺伝子変異としては、これまで一塩基置換に焦点が当てられ、いくつかの関連遺伝子が報告されている。アニオニックトリプシノーゲンのG191R多型は、多型の存在により易分解性となることで慢性膵炎に対し保護的に働くことが明らかにされた。我々は本邦で本多型が白色人種に比べ高頻度(378人中25人6.6%)に存在し、慢性膵炎(241人中3人1.2%)ならびにアルコール性の急性膵炎(59中0人0%)で低頻度であり、これらに対し保護的に作用することを報告した。また、もうひとつの遺伝子異常であるコピー数変異(CNVs)が近年注目されている。とりわけトリプシノーゲン遺伝子座のtriplicationやduplicationはフランスの複数の遺伝性膵炎家系あるいは若年性特発性膵炎患者において認められている。今回我々は本邦の慢性膵炎患者約200例と急性膵炎患者約180例を対象にトリプシノーゲン遺伝子座のtriplicationやduplicationの有無を解析した。その結果、本邦の膵炎患者にはこれらのコピー数変異は同定されず、本邦では稀な遺伝子異常である可能性が示唆された。
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