2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵炎関連コピー数変異の網羅的解析とスクリーニング系の確立
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21790646
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粂 潔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (30431563)
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Keywords | 膵炎 / 遺伝子異常 |
Research Abstract |
慢性膵炎は非可逆性、進行性の疾患と考えられており、その病態はいまだに不明である。また、膵炎関連遺伝子異常の保有者では膵癌発症の危険性が高まることが指摘されている。早期に診断し、その進行を抑制する治療法の開発が急務である。膵炎に関連する遺伝子変異として、これまで一塩基置換に焦点が当てられ、カチオニックトリプシノーゲンや膵分泌性トリプシンインヒビターなどいくつかの膵炎関連遺伝子が報告されている。一方、もうひとつの遺伝子異常であるコピー数変異(CNVs)が近年注目されている。とりわけトリプシノーゲン遺伝子座のtriplicationやduplicationはフランスの複数の遺伝性膵炎家系あるいは若年性特発性膵炎患者において認められている。今回我々は本邦の膵炎患者においてトリプシノーゲン遺伝子座のtriplicationやduplicationの有無を解析した。対象は慢性膵炎患者230例(遺伝性膵炎11家系、家族性膵炎14家系、特発性71例、アルコール性108例、自己免疫性26例)と急性膵炎患者180例(特発性79例、アルコール性53例、胆石性29例、高脂血症性6例、その他13例)とした。その結果、対象とした患者にこれらのコピー数変異を認めず、本邦では稀な遺伝子異常であると考えられた.またCGHアレイにより、遺伝性もしくは家族性膵炎患者を対象に網羅的なコピー数解析を行った。その結果、膵炎関連遺伝子のコピー数異常は認めなった。しかし他の領域において既知のコピー数多型とは異なる短い配列の欠失を複数個認め、一部はタンパク質コード領域内に存在していた。同定されたコピー数異常が、遺伝子の機能に影響を与えるかどうか今後検証する必要がある。
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