2010 Fiscal Year Annual Research Report
血中膵癌由来ペプチドの網羅的解析による新規バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
21790658
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山本 憲彦 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (60501963)
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Keywords | 膵癌 / ペプチド / 質量分析計 |
Research Abstract |
本年度も昨年に引き続き、膵癌や慢性膵炎の患者血清からタンパクを抽出した。膵臓癌患者41例(転移なし26例、転移あり26例)の血清と対照群として健常人11例、単純性脂肪肝18例の血清を用いた。血清から低分子量タンパク質(ペプチド)を抽出し、強陽イオンカラム交換(SCX)カラムと弱陰イオン交換(WCX)カラムでステップワイズ分画したのち、逆相クロマトグラフィーで分画した384分画を、MALDI-TOF MS/MS解析を行い、各群の低分子量タンパク質(ペプチド)の定量比較とROC解析をin-houseのソフトウェアParnassum行った。 成績:健常人との比較において膵臓癌で上昇するバイオマーカーペプチド候補が25種類(ROC解析でAUC>0.75)、単純性脂肪肝18例との比較において膵臓癌で上昇するバイオマーカーペプチド候補が86種類(ROC解析でAU(>0.8)見出された。このうち多くは血清に大量に含まれるタンパク質の断片であったが、癌関連タンパク質やがんシグナル伝達におけるリン酸化酵素の断片が膵臓癌でのみ見出された。これらの新規に同定された膵臓癌ペプチド腫瘍マーカー候補についてLC-MS法による定量アッセイを確立し、これらのバイオマーカーによる膵臓癌血液診断における臨床有効性を明らかにしたい。 結論:膵癌患者血清中において多数の特異的ペプチドを同定した。これらは、膵癌の早期診断マーカーになり得ると考えられた。この結果多数の疾患特異性ペプチドを同定することが可能であった。さらに、こらえらのペプチドの同定や修飾の解析をすすめ、臨床意義を含めその臨床意義、有用性についても検討中である。
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