2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓癌に対する化学療法併用WT1ペプチドワクチン療法の開発と抗腫瘍免疫動態の解析
Project/Area Number |
21790665
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西田 純幸 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00403189)
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Keywords | 膵臓癌 / WT1 / 癌免疫療法 / 細胞傷害性リンパ球 |
Research Abstract |
進行膵臓癌に対する塩酸ゲムシタビン(GEM)併用WT1ペプチドワクチン化学免疫療法臨床試験の遂行とその免疫学的動態解析 手術不能進行膵臓癌の症例を対象に、標準的なGEM投与にWT1ペプチドワクチンを併用投与する臨床試験を行い、参加された症例より解析に必要なサンプルを採取し、以下の解析を行った。 (1)GEMとWT1ペプチドワクチン併用による免疫系全体に与える影響の解析 末梢血中リンパ球数、CD3CD4、CD3CD8、Treg細胞それぞれの治療経過中の変化を解析した。全リンパ球数は、プロトコール治療2コース完了時に一時的な低下傾向を見たが、その後速やかに回復する傾向があった。これと同様にCD3CD8リンパ球数も2コース完了時に一時的な低下傾向を見たが、その後の低下は認められなかった。一方、CD3CD4リンパ球、Treg細胞数はいずれも治療経過中、著変を認めなかった。以上の結果は、GEM化学療法による免疫系への影響が軽微でありWT1ペプチドワクチン療法との併用は問題なく施行可能であることが示唆された。 (2)GEMとWT1ペプチドワクチン併用によるWT1特異的抗腫瘍免疫の免疫学的動態解析 GEM併用WT1ペプチドワクチン化学免疫療法臨床試験に参加された症例の末梢血サンプルを用い、テトラマー法マルチカラーFACSでWT1特異的細胞障害性T細胞(WT1-CTL)経時的な動態解析を行った。本治療により何らかの臨床効果(特に長期生存例)を認めた症例では、一時的なWT1-CTLの低下を認めたが、その後回復しかつ長期にわたって維持される傾向を認めた。この結果と臨床効果との関連については、更なる解析が必要であるが、WT1-CTLのが膵臓癌患者の臨床効果並びに生存に寄与していることを示唆する結果であった。
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