2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝鉄過剰蓄積を伴うNAFLDモデルマウスの解析とレチノイドによる除鉄効果の検討
Project/Area Number |
21790666
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
土谷 博之 Tottori University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00403402)
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Keywords | レチノイン酸 / 鉄代謝 / NAFLD / インスリン抵抗性 / 肝鉄過剰沈着 / NASH / レプチン / 肝脂肪沈着 |
Research Abstract |
1. 高脂肪・高フルクトースによる肝鉄過剰蓄積を伴うNAFLDモデルマウスの構築 C57BL/6マウスに高脂肪高フルクトース(HFHFr)食を与え、2、4、8、12、16、20週で肝臓を回収し、組織中の非ヘム鉄量を測定した。その結果、20週目において、1個体あたりの肝臓に含まれる全非ヘム鉄量は、通常食を与えたコントロール群と比較して約1.6倍まで増加していることが明らかとなった。また、同時にこのマウスは、肝臓への高度な脂肪沈着やインスリン抵抗性、内臓脂肪含量の増加、肝機能低下、などの症状を発症していることがわかった。 2. レチノイン酸によるNAFLDモデルマウスに対する肝鉄量減少効果の検討 上記の実験より、HFHFr食を16週間与えたマウスに、さらに4週間レチノイド添加食を与え、20週で臓器の回収および、肝臓中の非ヘム鉄量を行うこととした。今回は、通常食と50mg/kg all-transレチノイン酸(ATRA)添加通常食、HFHFr食、50mg/kg ATRA添加HFHFr食の4種類の食餌を調製しマウスに与えた。 その結果、HFHFr食を20週間与えたマウスに対し、ATRA添加HFHFr食を最後の4週間与えたマウスの肝臓非ヘム鉄量は、約60%まで減少していた。しかしながら、通常食とATRA添加通常食の間に有意な差は認められなかった。またこのときATRA添加食を与えたマウスでは、肝脂肪沈着の有意な減少やインスリン抵抗性の改善、内臓脂肪量の減少、肝機能異常の改善などの効果を認めた。 ここで、ATRAによるインスリン抵抗性改善作用が、肝臓への鉄過剰蓄積を抑制したのではないかと考え、そのメカニズムを明らかにしようと試みた。現在、レプチンの肝臓における作用が、ATRAによって増強されている可能性を示唆する研究結果が出ており、今後、その再現性の確認も含め、より詳細な検討を行っていく予定である。
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