2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝鉄過剰蓄積を伴うNAFLDモデルマウスの解析とレチノイドによる除鉄効果の検討
Project/Area Number |
21790666
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
土谷 博之 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (00403402)
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Keywords | レチノイン酸 / 鉄代謝 / NAFLD / インスリン抵抗性 / 肝鉄過剰沈着 / NASH / レプチン / 肝脂肪沈着 |
Research Abstract |
コリン欠乏食誘導NAFLDモデルマウスにおける鉄代謝と脂質代謝異常の関わり コリン欠乏食を与えたNAFLDモデルマウスの肝鉄量および脂肪含量を定量した結果、肝鉄量と脂肪含量に有意な正の相関が認められた。さらに遺伝子発現を調べたところ、鉄代謝関連遺伝子と脂質代謝関連遺伝子の発現量は有意な正の相関関係を示し、特にフェロポーチンの発現減少はこのモデルマウスにおける鉄過剰の主要な原因であることが示唆された。 鉄による肝細胞インスリンシグナル伝達への影響 昨年度までの研究により、高脂肪高フルクトース食を与えたマウス(HFHFrマウス)では、肝脂肪化およびインスリン抵抗性に伴って肝鉄量が増加することが明らかとなった。より詳細な検討を行ったところ、脂肪沈着が顕著になる前に、肝臓の鉄量が増加していることがわかった。そこで、ヒト肝癌由来細胞株であるHuH7細胞を用いて、鉄処理と脂肪酸処理を、順序を変えて処理した。しかしながら、鉄処理後の脂肪蓄積、脂肪酸処理後の鉄沈着ともに、影響はなかった。そこでこの細胞におけるインスリンシグナル伝達因子の解析を行ったところ、鉄処理によってAKTのリン酸化が有意に亢進していることが明らかとなった。このとこから、鉄は、AKTを活性化させることによって、インスリンシグナル伝達にネガティブフィードバックを誘導している可能性が示唆された。 all-transレチノイン酸(ATRA)によるインスリン改善作用のメカニズムの解明 昨年度までの結果から、HFHFrマウスにおいてATRAはインスリン抵抗性改善を介して鉄代謝の正常化をもたらしている可能性が示唆されたため、ATRAによるインスリン抵抗性メカニズムについて解明を試みた。その結果、ATRAはアディポサイトカインの一つである、レプチンに依存して肝臓におけるインスリン感受性を亢進している可能性が強く示唆された。
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