2009 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫シグナルと肝樹状細胞の特性を利用した免疫療法の開発
Project/Area Number |
21790669
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿部 雅則 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 寄付講座准教授 (40432786)
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Keywords | 樹状細胞 / 肝臓 / 自然免疫 |
Research Abstract |
本研究では、自然免疫シグナルを介した肝疾患に有用な免疫療法の確立を目標としている、本年度は、肝樹状細胞のtoll-like receptor(TLR), Nod-like receptor(NLR)の発現とリガンドに対する反応性をin vitroとin vivoで確認した。肝樹状細胞では、myeloid DC, plasmacytoid DCともTLR4の発現については脾樹状細胞と差がみられなかったが、TLR4リガンドであるLPS刺激によるサイトカイン産生、およびT細胞増殖誘導能が低下していた。肝樹状細胞ではLPS刺激によるNFkBの活性化が低下していた。次に、マウスにLPSを投与してin vivoでの作用を調べたところ、同様に肝樹状細胞のサイトカイン産生低下とT細胞増殖誘導能低下がみられた。TLR4 mutantマウスであるC3H/HeNマウスは肝樹状細胞の低反応性はみられず、この効果はLPS-TLR4依存性であることが示された。次に、T細胞に対するサイトカイン産生誘導能の検討では、LPS刺激後の肝樹状細胞では同マウスの脾樹状細胞に比し、Th1サイトカインであるIFN-γの産生誘導が低かった。Th2サイトカインであるIL-4には差がなかった。肝樹状細胞ではT-bet/GATA-3の発現比も低下していた。さらに、肝樹状細胞では、脾樹状細胞に比べて他のTLR(TLR7, TLR9)リガンドやNLR(NOD2)リガンドに対する免疫応答誘導能も低下していたが、この効果もLPSによる影響と考えられた。これまでの結果から、肝臓における樹状細胞の自然免疫シグナルに対する免疫応答が、多臓器とは大きく異なっていることが分かった。現在、そのメカニズムの詳細な解析を行っている。
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Research Products
(3 results)