2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫シグナルと肝樹状細胞の特性を利用した免疫療法の開発
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21790669
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿部 雅則 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座准教授 (40432786)
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Keywords | 樹状細胞 / 肝臓 / 自然免疫 |
Research Abstract |
本研究では、昨年度に引き続いて肝樹状細胞(DC)の機能特性、特に自然免疫シグナルとの関連についての解析を行った。今年度は1)肝DCのTLR刺激後の共刺激/抑制分子発現、2)肝DCサブセット(ミエロイドDC[mDC]、プラズマサイトイドDC[pDC])のケモカインに対する遊走能、3)TLR刺激(in vivo)による肝樹状細胞サブセットの動態を解析し、4)疾患モデルマウスでの肝DCの機能解析を行った。 1)肝DCはTLR9リガンド刺激後に共刺激分子であるCD80/CD86と共抑制分子であるCD274の発現が増強したが、その発現レベルの上昇はCD274で最も強くみられた。特に、肝pDCではCD274の発現レベルの上昇が強かった。一方、脾DCではCD80/CD86の発現上昇が強かった。2)未成熟な肝mDC、pDCは、他臓器のDCと同様にCCR1,CCR2,CCR5を強発現していたが、in vitroのmigration assayではCCL3,CCL4,CCL5に対する反応はみられなかった。一方、成熟肝mDC、pDCはともにCCR7の発現が増強し、CCL19,CCL21に対する反応がみられるようになったが、その反応性はmDCで強かった。3)TLR4リガンドをマウスに投与すると、脾臓ではDCサブセットの割合には変化がみられなかったが、肝臓ではmDCの割合が減少した。この結果はin vitroの結果と一致した。4)マウスに20%エタノールを8週間投与することにより、エンドトキシン濃度が上昇するアルコール性肝障害マウスモデルを作成した。エタノール摂取マウスの肝DCのT細胞増殖誘導能は低下していた。一方、TLR9リガンドを投与したマウスではエタノール摂取の有無による肝DCのT細胞増殖誘導能の差は見られなくなった。 以上から、肝DCのTLRに対する低反応性にはLPSが重要であることが示され、肝疾患に対する免疫療法の開発にはエンドトキシントレランスの維持と傷害・破綻のバランスを考慮する必要があることが示唆された。
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Research Products
(3 results)