2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスにより同定されたヒト好中球ペプチドの腸管炎症への影響の検討
Project/Area Number |
21790672
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上村 修司 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (60448561)
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Keywords | ディフェンシン / 炎症性腸疾患 / 腸管免疫 / 抗菌ペプチド / プロイオミクス / 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
Human Neutrophil Peptide1-3 (HNP1-3)は好中球、T細胞や樹状細胞に対し走化作用を示すだけでなく、上皮細胞に作用しIL-8産生・放出を促進させる作用をもつ抗菌ペプチドである。我々は活動性潰瘍性大腸炎患者の寛解導入療法後に血漿中HNP1-3が低下することを報告した。HNP1-3の過剰な存在は腸管炎症の原因となり、潰瘍性大腸炎の悪化につながっている可能性があるが、これまでHNP1-3の腸管局所や腸管上皮における作用の報告はなく、本研究ではHNP1-3により腸管上皮細胞を刺激し、細胞増殖への影響や炎症性サイトカイン産生能を検討した。さらにHNP1-3をIBDモデル動物に投与し腸管炎症に与える影響も検討した。HNP1-3は比較的低濃度では腸管上皮細胞増殖作用を示す。しかし高濃度となると細胞障害作用を示した。またHNP1-3は、腸管上皮細胞のIL-8とVEGFのmRNA発現を濃度依存性に亢進させていた。また培養上清中のIL-8とVEGFの産生も増加させていた。これらの結果はHNP1-3が腸管上皮細胞に作用し、腸管局所の炎症の悪化をもたらしている可能性を示唆していると考えられた。またIBDモデル動物としてDSS腸炎マウスを用いた検討では、HNP1-3を過剰投与した群は、HNP1-3非投与群と比較して腸管の炎症スコアが高く、かつ腸管が短縮する傾向にあった。これらの結果はHNP1-3が腸管炎症の拡大につながる可能性が示された。
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Research Products
(3 results)