2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790673
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高見 陽一郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科プロジェクト, 研究員 (10500473)
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Keywords | ips細胞 / 肝細胞増殖因子 / 肝内胚葉 / 脂肪酸代謝 |
Research Abstract |
誘導型多能性幹細胞(ips細胞)を利用して肝細胞分化誘導メカニズムを解明することを目的に、平成22年度は、4種類のマウスiPS細胞(20D-17、178B-5、440A-3及び492B-4)を用いて、ES細胞で行われてきたいくつかの肝細胞分化誘導法を参考にiPS細胞のHGFを用いた肝細胞分化誘導法について詳細に検討した。この検討の過程で、胚葉体形成及びbFGF+activinAにより誘導した内胚葉細胞の形態が、細胞株間で異なることがわかった。特に440A-3(プラスミドベクターにより作製されたips細胞クローン)由来の肝内胚葉は他の細胞株と異なり、HGF及びDMSO添加により大量の脂肪滴蓄積細胞を生じた。また、このような脂肪滴蓄積細胞はPAS染色陽性で且つICGの取り込みが認められることから、脂肪化した肝細胞様細胞であると考えられた。脂肪化マーカーであるC/EBPp、PPARγ2及びaP2の遺伝子発現は440A-3由来の肝細胞様細胞で有意に亢進しており、またこの脂肪滴蓄積細胞は、ALK5阻害剤であるsB431542により増加した。cDNAマイクロアレイ解析により、各iPs細胞株の遺伝子発現を比較したところ、脂肪酸代謝に関連する395遺伝子の内、長鎖脂肪酸トランスポーターのSlc27a2、同伸長酵素のElovl7及びapolipoprotein A-IIが440A-3のみで有意に発現亢進していることを明らかにした。本年度の研究で、前年度に見出したips細胞の細胞株間での性質の違いをより明確に示すことができた。またその差異の原因と思われる遺伝子も同定した。今後はこれら遺伝子の機能がiPS細胞の肝細胞誘導経路にどのように関わるかを検討する。
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