2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790673
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高見 陽一郎 熊本大学, 発生医学研究所, 厚労科研研究員B (10500473)
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Keywords | iPS細胞 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
前年度までの研究から、細胞内でのミトコンドリア機能や脂質代謝がiPS細胞の性質や分化経路に深く関わっていることが分かってきた。また近年、iPS細胞の分化や細胞のリプログラミングの過程に細胞内のエネルギー生産機構であるミトコンドリアの機能や代謝が深く関与していることを示唆する報告もなされている。そこで、本年度は種々の線維芽細胞からヒトips細胞を作製し、ミトコンドリア機能とiPS細胞の分化との関連について検討を行った。またミトコンドリア機能異常のモデル細胞として、ミトコンドリア病患者由来の線維芽細胞からiPS細胞を樹立し、リプログラミング過程あるいは三胚葉への分化経路におけるミトコンドリア機能の変化についても同時に検討した。まず健常者由来iPS細胞として201B7細胞を用い、Ethidium BromideによりミトコンドリアDNAを除去したiPS細胞(ρ0-iPS細胞)を作製を試みた。その結果、Ethidium Bromide添加によりiPS細胞でのミトコンドリアDNAは顕著に減少しρoになったと考えられたが、このiPS細胞は継代すると死滅してしまい維持培養することができなかった。従ってミトコンドリア機能を完全に抑制することで分化誘導を行うのは困難と考えられた。そこで、次にミトコンドリア病患者由来線維芽細胞からiPSを誘導し、分化に及ぼす影響について検討した。変異部位の異なるミトコンドリア病患者由来線維芽細胞からSeVベクターを用いた方法でiPS誘導を行ったところ、一部の症例でiPSの樹立効率が健常者に比べて顕著に低下していることが分かった。このことはミトコンドリア機能の低下が細胞のリプログラミングを阻害していることを示唆しており、今後さらに詳細な検討が必要であると考えられた。
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