2009 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)病態における性ホルモンの影響の解析
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21790678
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
高橋 敦史 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (40404868)
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Keywords | NASH / 性差 / エストロゲン / エストロゲンレセプター |
Research Abstract |
本研究では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態形成におけるエストロゲンおよびエストロゲンレセプターの役割を明らかにすることを目的とし、NAFLDやNASH患者でのエストロゲンレセプターの発現と臨床病態を検討し、さらに疾患モデル動物を用いてエストロゲンの病態への影響を検討する。NAFLD患者31名(男16名、女15名平均年齢54.5歳)における検討ではエストロゲンレセプターERα、ERβ及びGPR30の発現量はいずれも男女間で有意差認めなかつた。健常人44名(男22名、女22名平均年齢41.7歳)との比較ではERα0.77倍、ERβ1.22倍及びGPR30が4.79倍とNAFLD患者ではGPRが健常人に比し有意に発現量が多かった。エストロゲンレセプターと血液検査成績との相関ではERαとレプチン間で相関係数0.589、p値0.0427と正の相関を認め、ERαはBMIとも相関係数0.632、p値0.025と正の相関を認めた。その他ALT、ALT、γ-GTP、TC、HOMA-IR、アディポネクチンとエストロゲンレセプターの発現量に有意な相関は認めなかった。これまでの検討でNAFLD群において健常人に比しGPR30の発現量が有意に増加し、ERαの発現量が健常人と比し低下傾向を示したことから、エストロゲンレセプターの発現とNAFLDの病態への関連が推察された。さらにERαの発現量がレプチンやBMIと正の相関があり、NAFLDの背景として重要な肥満においてERαの発現が影響していると考えられた。これまでの検討でNAFLDの病態形成にエストロゲンレセプターの発現が関与していることが明らかとなった。今後症例を蓄積し、NASHと単純性脂肪肝での発現量の比較及びNASHの2nd hitへのエストロゲンレセプターの関与の有無についての検討が必要である。一方、疾患モデル動物を用いての検討については雌のC57BL/6マウスに両側卵巣を摘出した閉経モデルマウスの作成が終了し、高脂肪食の負荷によるNAFLDモデル(脂肪肝)マウスの作成を進めている段階で今後エストロゲンの病態の影響を検討していく予定である。
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