2010 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)病態における性ホルモンの影響の解析
Project/Area Number |
21790678
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
高橋 敦史 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40404868)
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Keywords | NASH / 性差 / エストロゲン / エストロゲンレセプター |
Research Abstract |
本研究では非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態形成におけるエストロゲンおよびエストロゲンレセプター(ER)の役割を明らかにすることを目的とし、昨年度はヒト末梢血単核球RNAの検討でNAFLDの病態形成にERの発現の関与が明らかとなった。本年度は雌のC57BL/6マウスに両側卵巣を摘出した閉経モデルマウスを用いNASH病態における女性ホルモンの影響を検討した。8週齢のC57BL/6Jマウス(雌性)を卵巣摘出の有無と給餌内容から以下の4群に分類した。A群:卵巣摘出+高脂肪食、B群:卵巣摘出+通常食、C群:卵巣未摘出+高脂肪食、D群:卵巣未摘出+通常食。各群において食事開始から8週での血液検査所見(ALT、LDL-C、Fe、空腹時血糖(FBS)、空腹時インスリン(Ins)、HOMA-IR)、肝組織所見及び肝組織におけるcollagen IのmRNA発現を比較検討した。血液検査成績はALT(A;80.0±23.3B;24.0±3.6C;32.7±12.5 D;30.0±4.9)LDL-C(A;14.0±2.2B;8.7±1.6C;9.3±3.3D;6.0±2.2)Fe(A;205.3±26.9B;142.7±10.3C;173.3±36.OD;164.0±23.6)FBS(A;317.0±68.4B;210.0±25.7 C;242.8±31.4D;163.7±29.7)Ins(A;22.2±8.4B;6.5±2.7C;9.4±2.7D;3.3±0.6)、HOMA-IR(A;41.6±25.1B;5.6±1.8C;9.6±3.4D;2.2±0.5)でありALT、FBS、Ins、HO融一IRがA群で他3群に比べ有意に上昇していた。肝組織では肝脂肪化や肝細胞風船化変性もA群で著しかった。肝組織での肝線維化の程度は各群で差異を認めなかったものの、collagen I mRANの発現はD群に比しA群で2.2倍、B群で0.4倍、C群で4.2倍でありA、C群の発現が増加していた。卵巣摘出マウスへの高脂肪食付加により、肝脂肪化とASTの上昇とインスリン抵抗性の増強を認めたことから、女性ホルモンの欠如がNASHの病態に強く影響していることが確認できた。卵巣摘出マウスでは閉経に伴うと考えられるFe濃度も上昇傾向にあり、閉経後の女性でNASHへ進展しやすいことが推察された。
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