2009 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシレドキシン6(Prx6)による腸管炎症性制御機構の解明
Project/Area Number |
21790680
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岡田 ひとみ Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学部, 助教(寄附講座) (60533023)
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Keywords | 腸管炎症性疾患 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)は難治性・再発性の腸管炎症性を主体とする疾患群であり、若年者に多く罹患率は増加する傾向にある。その病因は腸管粘膜の免疫機構の破綻が大きな要因と考えられているが、他にも様々な要因が関与しており、発症機序は未だ明確ではない。このため根本的な治療法は確立しておらず、対照的治療に終始することが多く、的確に病気の進み具合(病勢)を把握するマーカーも十分とは言い難いのが現状である。 研究代表者らはIBDにおける新規治療標的分子・新規病勢マーカーの探索のため、潰瘍性大腸炎モデルとされるデキストラン硫酸腸炎マウスの大腸粘膜を試料とした蛋白質発現量解析を行った。正常マウスにおける大腸粘膜と比較した結果、ペルオキシレドキシン6(Prx-6)の発現が大腸炎粘膜において特異的に低下していることが明らかになった。IBDにおいて、酸化ストレスによるタンパク質の翻訳後修飾が疾患の発症、持続炎症、炎症性発癌などに関与する可能性が示唆されており、抗酸化酵素であるPrx-6は疾患組織の酸化ストレスに関与しているのではないかと考えられる。本研究は、IBDにおいて発現量低下が見られるPrx-6に焦点をあて、Prx-6のIBD炎症制御における役割を解明し、IBDの新規治療標的分子として提案することを目的としている。 研究代表者らは、Prx-6の酵素活性部位であるシステインが何らかの翻訳後修飾を受けているため酵素活性が失われているのではないかと考え、酸化ストレスによる翻訳後修飾の一つである一酸化窒素による修飾であるs-ニトロシル化の解析を行った。リコンビナントPrx-6に一酸化窒素供与剤であるGSNOを投与し、修飾された箇所をビオチンで標識し検出した結果、GSNOを投与したPrx-6はGSNOを投与していないものと比較するとs-ニトロシル化が増加していることがわかった。今後、s-ニトロシル化が酵素の活性部位に起こっているかを解析する予定である。
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Research Products
(1 results)