2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪性肝炎の病態形成におけるマクロファージスカベンジャー受容体の役割
Project/Area Number |
21790682
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤井 英樹 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 病院講師 (20382070)
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Keywords | 肝臓 / 炎症 / 線維化 / メチオニン / コリン |
Research Abstract |
MSR-A KO (MSR-A^<-/->)マウスおよびコントロール(MSR-A^<+/+>)マウスにメチオニン・コリン欠乏(MCD)食を投与し非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症させ,両群間の脂肪化,炎症及び線維化の程度の差異を検討した.(1)脂肪化:MCD投与後5週の検討において脂肪化の程度及びNASスコアはMSR-A^<+/+>群に比しMSR-A^<-/->群で有意に低下していた.(2)炎症:MCD投与後5週の検討においてF4/80陽性細胞数はMSR-A^<+/+>群に比しMSR-A^<-/->群で有意に低下していた.更に,肝臓におけるマクロファージの活性化の指標であるTNF-α,MCP-1及びMCP-1のmRNAレベルもMSR-A^<+/+>群に比しMSR-A^<-/->群で有意に低下していた.MSR-Aシグナルの下流に位置するM-CSFのMCD投与開始後5週の肝組織中のmRNAレベルはMSR-A^<+/+>群に比しMSR-A^<-/->群で有意に低下していた。(3)線維化:MCD投与後15週のAzan染色、Sirius red染色においてMSR-A^<-/->群では有意差を持って肝の線維化は抑制されていた。更に,肝組織より抽出したmRNAを用いたReal-time PCRでTGF-β, Col1a1, TIMP1の各遺伝子の発現量はMSR-A^<-/->群で有意に減少していた.MSR-AはNASH発症における(1)脂肪化,(2)炎症,(3)線維化のいずれにおいても影響を与えていた.MSR-A欠損状態では炎症時に肝臓内に流入するマクロファージの数及びサイトカイン産生能はいずれも低下していると思われた.
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