2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍浸潤筋線維芽細胞による癌幹細胞stemness維持機構に関する研究
Project/Area Number |
21790685
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
足立 雅之 Keio University, 医学部, 講師 (70338028)
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Keywords | 癌幹細胞 / 腫瘍ニッチ / 肝星細胞 / Wntシグナル |
Research Abstract |
本研究では、肝臓における腫瘍浸潤筋線維芽細胞(Tumor-Associated Myofibroblast:TAM)のソースとして肝星細胞に注目し、癌幹細胞の自己複製能・未分化性維持機構における肝星細胞の関与を検討した。肝癌細胞株Huh7細胞を用いてSide Population(SP)およびCD133、EpCAM、CD90のFACS解析を行った。SP分画にはTotal、Main Population(MP)分画に比べてCD133陽性細胞が多く観察された。CD133陽性SP、CD133陽性MP,CD133陰性SPの各細胞集団を解析したところ、CD133陽性SP分画が腫瘍造成能、Sphere形成能、抗癌剤耐性を示し、癌幹細胞としての性質を持つ細胞集団であった。次に、Transwell Culture Dishを用いて活性化肝星細胞株hTERT HSCと肝癌細胞を共培養したところ、肝癌細胞の単独培養に比べてSP分画が増加した。また、Transwellの上段に肝癌細胞と肝星細胞を混合培養したところ下段の肝癌細胞のSP分画はさらに増加した。SP細胞を単離培養すると分離培養4日でSP細胞の大部分はMP細胞に分化するが、肝星細胞との共培養によりSP細胞数が維持され、MP細胞への分化が抑制されたものと考えられた。肝星細胞との共培養によるSP分画の増加はWnt antagonist DKK-1によって阻害され、Wntシグナルが肝癌細胞のstemness維持に重要であることが示唆された。以上の検討により肝癌幹細胞のStemness維持機構に活性化肝星細胞が腫瘍ニッチとして重要な役割を果たすことが示唆された。以上の研究結果は、米国肝臓学会(AASLD)および米国癌学会(AACR)において発表し、現在論文投稿準備中である。
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