2009 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスの粒子形成を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
21790693
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
政木 隆博 National Institute of Infectious Diseases, ウイルス第二部, 主任研究官 (60535657)
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Keywords | HCV / NS5A / Core / 粒子形成 / リン酸化 / キナーゼ |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)の生活環は、ウイルス蛋白質同士あるいはウイルス蛋白質が様々な宿主因子と相互作用することによって維持されている。特に、生活環において最も重要なステップの一つである粒子形成には、非構造蛋白質5A(NS5A)とCore蛋白質間の相互作用が必須であること、また、NS5A-Core間相互作用には、NS5AのC末端領域に存在するセリン残基クラスターのリン酸化が必要である可能性が示されている。本研究目的は、HCV粒子形成に重要なNS5A-Core間相互作用を制御する分子機構を明らかにすることであり、当該年度では、(1)NS5A-Core間相互作用に関わる相互作用領域の同定、(2)NS5A-Core間相互作用に関与する宿主因子の同定、(3)NS5Aのリン酸化を制御するキナーゼの同定、を目指し解析を行った。(1)に関しては、精製Core、NS5A蛋白質を用いたpull-down解析により、相互作用領域としてCoreのaa 117-173領域、NS5Aのdomain 3領域が重要であることを見出した。(2)に関しては、野生型JFH-1、変異型JFH-1(NS5AのC末端領域に変異が導入されており、NS5A-Core間相互作用及びウイルス粒子形成効率が著しく障害されるもの)複製細胞を用いてNS5Aと共沈する蛋白質プロファイルを解析したところ、両者間に共沈蛋白質の相違がみられた。現在、これらの蛋白質の同定を行っている。(3)に関しては、ヒトキナーゼライブラリーを用いてNS5Aを基質とするキナーゼを9種類同定した。現在、同定されたキナーゼがウイルスゲノム複製、粒子形成に及ぼす影響をHCVサブゲノミックレプリコン細胞、HCV感染細胞を用いて解析している。本研究は、HCVゲノム複製、粒子形成機構の解明や粒子形成という新たな創薬ターゲットの同定に道を拓く可能性を有する。
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Research Products
(9 results)