2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックスタンパクとインテグリン相互作用の心血管疾患における機能解析
Project/Area Number |
21790696
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松井 裕 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任准教授 (30431381)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 心血管疾患 / 組織再構築 / インテグリン |
Research Abstract |
1、α9インテグリン マウスの心筋梗塞モデルにおけるα9インテグリンの発現を免疫染色法、real-time PCR法などを用いて解析した。これまでに心筋細胞、心筋線維芽細胞などでその発現を確認した。現在、心筋梗塞モデルに中和抗体を投与してその治療効果を確認中であるが、現在までのところ、α9インテグリンが心筋梗塞後の組織修復に重要な役割を果たしているという結果が得られている。α9インテグリンは、現在まで動物モデルで使用可能な抗体がなく、さらに欠損マウスは生後数日で致死になることから、その心血管疾患における働きは全く不明であった。本研究により、これらの病態においてα9インテグリンが役割を持っていることが明らかになれば、新たな治療法につながる可能性があると考えられる。更に、OPNは既にこれらの病態において重要であることが示されているが、その機序として、OPN-α9インテグリンの相互作用が関係しているかどうかということも重要な検討課題であると考えられる。この点に対しても、OPN欠損マウスやOPN中和抗体などを用いることにより明らかにすることが可能であると考えられる。 2、Syndecan-4 血管障害モデルにおけるSyndecan-4の機能の解析では、Syndecan-4が、障害血管の平滑筋細胞の増殖と遊走の制御に働くのみならず、骨髄に存在する平滑筋前駆細胞の動員にも関与し、新生内膜形成に重要な役割を担っていることが示された。また、心筋梗塞モデルにおけるSyndecan-4の機能の解析では、心臓におけるSyndecan-4の発現をreal time PCRおよび免疫染色により解析した。その結果、Syndecan-4は正常心では発現を認めないが心筋梗塞発症後経時的にその発現が亢進することがわかった。現在Syndecan-4欠損マウスに心筋梗塞を作成し、その疾患に対する直接的な効果を確認中である。近年、Syndecan-4は心臓の修復過程に関与していることが示唆されるがその直接的な役割は不明であり、その役割を明らかにすることにより新たな治療法の確立につながる可能性があると考えられる。
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