2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規炎症関連蛋白サイクロフィリンの肺高血圧促進機構
Project/Area Number |
21790698
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 公雄 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (80436120)
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Keywords | 酸化ストレス / 肺高血圧 / 血管平滑筋細胞 / 低酸素ストレス / 大動脈瘤 / 心不全 / 心肥大 |
Research Abstract |
本研究は、サイクロフィリンA(CyPA)の肺高血圧における意義に関して、基礎から臨床まで実際の治療を視野にいれた詳細な研究を行うことを目的としている。細胞実験において、(1)CyPAが血管平滑筋細胞に非常に強く発現し、(2)酸化ストレスがその細胞外への分泌を促進すること、(3)細胞外CyPAが血管平滑筋において酸化ストレスを誘導すること、(4)CyPA分泌がRho-kinase依存性であることを確認した。すなわち、CyPAが血管平滑筋細胞における酸化ストレス増幅蛋白として機能することを確認した。次に動物実験を行い、分泌された細胞外CyPAは骨髄由来細胞の遊走を促すと同時に、血管平滑筋の細胞増殖や遊走能を高め、血管狭窄病変の病態に重要であることを証明した。また、CyPAが酸化ストレス増幅のみならず、MMP活性化に重要であり、腹部大動脈瘤や心肥大の促進因子であることを確認した。細胞外CyPAは血管内皮の接着因子の誘導・内皮型NO合成酵素(eNOS)の発現低下・骨髄由来細胞の遊走を介して動脈硬化を促進することも明らかにした。 さらに、正常マウスおよび遺伝子改変マウスを用いた病態生理の解析に加え、骨髄置換実験やCyPA阻害薬の慢性投与実験を行い、肺高血圧における意義を検討している。各計画研究において、その臨床的意義を確認するために、ヒト由来の肺血管・組織・樹立細胞を用いた検討も行っている。慢性低酸素性肺高血圧モデル(10%O_2,4週間)を用い、これらのマウスにおける(1)右室収縮期圧および右室重量比、(2)肺動脈リモデリング、を正常マウスと比較検討し、肺高血圧の進行を評価している。今後は、これまでの細胞実験を発展させ、動物における意義、臨床への応用を検討する。
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