2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の原因としての組織慢性炎症の発症機序の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
21790706
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30422306)
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Keywords | 細胞・組織 / 発現制御 / 循環器・高血圧 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
(1)KLF5標的遺伝子S100A8、S100A9の動脈硬化、メタボリックシンドローム、CKDにおける機能解析 KLF5ノックアウトマウスを用いて、腎障害モデルを作成し、S100A8およびS100A9が骨髄由来monocyteを腎臓にリクルートし、さらにS100A8/S100A9はmonocyteを炎症性マクロファージに分化させることで腎臓障害に関与していることを明らかにし、現在論文投稿中である。 (2)KLF5による組織リモデリング制御機構の解析 腎臓集合管特異的KLF5ノックアウトマウスを用いて、腎臓上皮細胞におけるKLF5の働きを解析した。KLF5は生理学的には、Cdh1遺伝子を制御し、上皮の恒常性を維持するために働いているが、腎障害を感知すると、Cdh1遺伝子の制御を中止し、S100a8,S100a9を制御することを明らかにした。以上から、腎障害時に腎臓集合管上皮細胞は腎障害のセンサーとして働き、炎症性リモデリングを惹起する重要な細胞であることを明らかとした。また、KLF5は同細胞において、炎症のスイッチを入れる鍵分子であることを明らかにした。 (3)新規治療戦略の開発 腎障害における新規治療標的として、当初S100A8,S100A9を想定し、その中和抗体およびsiRNAを用いた実験を予定していたが、その過程でより有望な新規治療標的である因子Xおよび因子Yを同定し得たため、予定を中止し、新たな治療標的X,Yの機能解析を行い、新規治療法への基礎的知見を得た。
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