2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 憲文 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (60436483)
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Keywords | 線維芽細胞 / 心肥大 / 心線維化 / 心不全 / IGF-1 / KLF5 |
Research Abstract |
【目的】病態形成における非実質細胞の役割が注目されているが、心筋リモデリングにおける心線維芽細胞のin vivo機能解析は従来困難であった。肥大心の線維芽細胞で強く活性化される転写因子KLF5に着目し、圧負荷心筋リモデリングにおける線維芽細胞のin vivo機能解析を試みた。 【方法】心線維芽細胞で活性化されるPeriostinプロモーターを用いたCreマウスを新規作成し、弓部大動脈縮窄による心圧負荷モデルを用いて、KLF5が発現・活性化した線維芽細胞の役割を検討した。 【結果】心線維芽細胞特異的Klf5欠損マウス(Klf5^<fllfl> ; Postn-Cre)では、線維芽細胞の増殖抑制・線維化の軽減と共に、心筋細胞肥大も抑制された。一方で心筋細胞特異的Klf5欠損マウスでは、心筋リモデリングへの影響がなかったことから、KLF5が発現・活性化した線維芽細胞は、線維化のみならずin vivo心筋細胞肥大にも関与することが示唆された。線維芽細胞からの分泌蛋白をスクリーニングした結果、KLF5はインスリン様成長因子-1(IGF-1)の転写制御を担い、IGF-1は(パラクライン因子として)心筋細胞の肥大反応を促進した。 更に重度の圧負荷を用いた心不全モデルでは、Klf5^<fllfl> ; Postn-Creの心線維化・心肥大は同様に抑制されたが、著明な左室拡大及び左室収縮機能低下を来たし易く、早期に心不全死に陥った。IGF-1受容体抑制薬(JB1)を投与した重度圧負荷マウスでも、同様の早期心不全死に至ったことから、線維芽細胞およびその分泌蛋白IGF-1は、重度の圧負荷に対する心保護的作用も担うことが明らかとなった。 【結論】KLF5を介して活性化された線維芽細胞は、IGF-1を分泌し心筋肥大作用や心保護作用を担う。心線維芽細胞は、圧負荷後の適正な心筋リモデリングを司る重要な細胞種であり、重症心不全の治療標的となる可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)