2009 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム解析による心房細動感受性遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
21790711
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
江花 有亮 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 教員 (60517043)
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Keywords | 心房細動 / 全ゲノム解析 / 個別化医療 |
Research Abstract |
心房細動に関連する遺伝子座としてSNP008(ラボネーム)が同定されていた。そのマーカーSNPの存在する連鎖不平衡ブロックをSNP検索したところ、AF001という転写因子をコードした遺伝子のプロモーター領域にマーカーSNPと連鎖不平衡にあるSNPを同定した。そこでそのSNP周辺を含む配列をpGL3ベクターへ挿入し、HEK293Tを使用してレポーターアッセイを施行した。すると保護的なアレルに比べ、リスクアレルでは1.5倍の転写活性の増加を認めた。続いてHEK293Tから核タンパク質を抽出し、TFAP2α及びγに対する抗体を使用してゲルシフトアッセイを行ったところ、TFAP2aを含む転写複合体とそのSNP周辺配列との結合が確認された。このSNPのアレルによってプロモーター活性か変化する可能性があると考えられるが、それぞれのアッセイをまだ1回ずつしか施行していないため、3回施行して確認する必要がある。このAF001遺伝子は心臓発生の段階で関与していると考えられるため、心臓由来の細胞あるいは間葉系幹細胞によって更に確認する必要がある。 またその遺伝子座から150kbほど離れた位置に更にP値の低い領域が存在する。この遺伝子座はcis制御領域としてAF001遺伝子の発現の変化に関わっていると考えられる。そこでこの約94kbpのこの領域をシークエンス解析を行い、SNP検索を行った。有意差のあるSNPと連鎖不平衡にある心房細動関連SNPは31まで絞り込むことが出来た。次にエンハンサーマークとなるタンパク質(p300と1メテル化H3K4)とRNAポリメラーゼの抗体によるクロマチン免疫沈降法(HEK293T)を施行したところ、エンハンサーと考えられる部位を確認し、SNPを3まで絞り込んだ。この遺伝子座とAF001遺伝子の発現の変化か判明すれば、心房細動発症のメカニズムの解明につながると考えられ、意義は大きい。
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