2009 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型心筋症における各種遺伝子多型と心血管事故との関連についての検討
Project/Area Number |
21790728
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大木元 明義 Ehime University, 医学部附属病院, 講師 (00403832)
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Keywords | Hypertrophic cardiomyopathy / Polymorphism / gene / Cardiovascular events |
Research Abstract |
肥大型心筋症のテーラーメード医療にむけて,すでに横断研究としてその関連性を報告した各種遺伝子多型とその薬物反応性,さらには心血管事故との関連を前向きに検討することが課題であった.当該年度の研究成果の一部を報告する. 【目的】肥大型閉塞性心筋症(HOCM)におけるACE遺伝子多型と左室内圧較差ならびにシベンゾリンに対する反応性の関連を検討することである. 【方法】HOCM患者24例(男性17例,平均年齢55歳)を対象として,ACE遣伝子I/D多型の解析を行った,入院後シベンゾリン200mgの経口単回内服を行い,内服前と内服2時間後に心エコー検査にて心内圧較差を計測し,ACE遺伝子多型との関連を検討した.また内服前と内服1年後のNYHA心機能クラスも評価した. 【結果】ACE遺伝子多型頻度(D/D, D/I, I/I)はそれぞれ16.6%,41.7%,41.7%であった.Dアレル優性モデル(D/D+D/I vs I/I)解析では,シベンゾリン内服前の心内圧較差はD/D+D/I群で有意に高かった.シベンゾリン内服後には心内圧較差は両群ともに有意に減少したが,D/D+D/I群での改善度が高く,両群間での有意差は消失していた.シベンゾリン内服開始2時間後と1年後の左室内圧較差は各群間で有意差がなかった.NYHA心機能クラスは,シベンゾリン内服前に両群間で有意な差を認めたが,内服後には同等にまで改善し,心内圧較差と同様の結果を示した. 【結論】ACE遺伝子DアレルはHOCMにおける心内圧較差および自覚症状の増悪に関連するが,シベンゾリンはDアレルの保有者においても非保有者と同等までにこれらを改善させる可能性が示唆された.Dアレル保有者でシベンゾリンが効きやすい機序また自律神経系に及ぼす影響については次年度に進めていく予定である.
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Research Products
(2 results)