2010 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型心筋症における各種遺伝子多型と心血管事故との関連についての検討
Project/Area Number |
21790728
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大木元 明義 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (00403832)
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Keywords | Hypertrophic cardiomyopathy / Polymorphism / gene / Cardiovascular events / B-type natriuretic peptide |
Research Abstract |
肥大型心筋症のテーラーメード医療にむけて,すでに横断研究としてその関連性を報告した各種遺伝子多型とその薬物反応性,さらには心血管事故との関連を前向きに検討することが課題であった. 昨年度はアンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子Dアレルが肥大型閉塞性心筋症における心内圧較差および自覚症状の増悪に関連するが,シベンゾリンはDアレルの保有者においても非保有者と同等までにこれらを改善させる可能性を報告した. 当該年度の研究成果の一部を報告する. 背景:肥大型心筋症(HCM)はサルコメア蛋白の遺伝子変異により心筋の異常肥大を呈し,左室腔の狭小化と拡張障害を主徴とする疾患である.血漿B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値は,HCMにおいて最大左室壁厚,左室流出路圧較差,心房細動などと相関することが報告されている.近年,natriuretic peptide precursor B (NPPB)遺伝子多型(rs632793A/G)が血漿BNP値と関連することが報告された. 目的:HCM患者における心血管事故におよぼす血漿BNP値とそれをコードするNPPB遺伝子多型との関連を検討することである. 方法・結果:HCM患者148名(男性116名,平均年齢63歳)のNPPB遺伝子多型(rs632793A/G)をタイピングした.心血管事故を心臓死と緊急入院(心房細動,脳卒中,うっ血性心不全)と定義した.この遺伝子多型は図に示すようにGアレル数の増加とともに血漿BNP値が上昇した.また,心血管事故のあった患者は70名(47%)であり,心血管事故がない患者が78名(53%)であった.心血管事故のあった群ではGG型の頻度が有意に高かった(p=0.016)。 結論:HCM患者における心血管事故におよぼす血漿BNP値とそれをコードするNPPB遺伝子多型との関連が示唆された.
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Research Products
(7 results)