2010 Fiscal Year Annual Research Report
心不全増悪要因としての脳内ナトリウムハンドリング異常:機序解明と治療法の確立
Project/Area Number |
21790730
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 浩司 九州大学, 大学病院, 助教 (10452757)
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Keywords | 心不全 / 食塩 / 脳 / Naチャネル / ミネラルコルチコイド / 交感神経活動 |
Research Abstract |
申請者は「心不全増悪要因としての脳内Naハンドリング異常」の機序解明を目標に本研究を行い、Naハンドリングに重要な役割を演じるミネラルコルチコイド受容体(MR)-上皮型Naチャネル(ENaCs)経路の心不全における脳内動態について検討を行った。心不全モデルとして大動脈bandingによる圧負荷心不全モデルを作成した。脳内MR-ENaCsの発現は、慢性(4週間)圧負荷が加わることで有意に増加を認めた。同時に本モデルにおいて脳内アンジオテンシンtype 1受容体(ATIR)の発現増加も確認した。慢性圧負荷に伴う脳内ATIR発現増加は、脳室内MR blockerで抑制され、逆にAT1R blocker投与で、脳内MR発現抑制が生じないことを確認し、「圧負荷→脳内MR経路活性化→脳内ATIR発現増加」が生じていることが示唆された。研究計画にあるようにAT1Rノックアウトマウスをもちいた検討でも、同結果を示唆する結果が得られた。慢性圧負荷モデルに食塩負荷を行うと、脳内Na取り込み亢進が生じ、脳内Na濃度が上昇することでAT1R(脳内レニン-アンジオテンシン系)活性化を来たし、さらに脳内MR活性化が亢進することを明らかにした。さらに、これらの脳内MR-AT1R系の活性化により、交感神経活性化-心機能低下が促進されることも確認した。ENaCs活性化機序として、申請者はENaCs抑制系としての脳内CYP-EET経路の関与を検討した。対照群では、食塩負荷によってENaCs抑制系であるCYP-EET経路の脳内での活性化を来たすが、心不全モデルではその反応が消失していることも確認した。以上、本研究において、心不全モデルにおけるNaハンドリング異常が、脳内MR-ENaCs-AT1R経路活性化によって生じることが明らかとなり、今後の心不全治療ターゲットとして本経路の重要性、有望性を確認できた。
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Research Products
(3 results)