2009 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素暴露が肺動脈性高血圧症を誘導するメカニズムの解析
Project/Area Number |
21790748
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 Keio University, 医学部, 助教 (90407114)
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Keywords | 低酸素 / 肺動脈性高血圧症 / 血管内皮細胞 / BMP受容体 |
Research Abstract |
低酸素暴露により誘導される肺動脈性高血圧症の発症機転を追究するため、低酸素により培養肺動脈内皮細胞に固有の発現変化を示す分子の同定を試みた。 ヒト正常肺動脈、大動脈、臍帯静脈由来内皮細胞を通常(21%酸素)および低酸素(1%酸素)条件下に24時間暴露し、全RNAを抽出し、血管新生およびTGF-β/BMP関連遺伝子のDNAアレイを用いて、網羅的な発現スクリーニングを行った。その結果、低酸素暴露肺動脈内皮細胞に固有の発現変化を示した遺伝子は、179遺伝子中27遺伝子、さらに半定量的PCRを行なった結果、5遺伝子(BMPR-IA、BMPR-II、Flt-1、Tie-1、CD31)に絞られた。そこで、DNAアレイおよび半定量的PCRの結果の確認および再現1生を検討するため、さらに異なるロットの各種血管内皮細胞(肺動脈:3、大動脈;2、臍帯静脈:2)を用いて、抽出された5遺伝子の発現量を定量的PCRで測定した結果、最終的にBMP受容体であるBMPR-IAとBMPR-IIが同定された。 BMPR-IA遺伝子発現は低酸素培養により肺動脈内皮細胞で0.5倍と有意に低下し、大動脈内皮細胞では1.0倍と変化せず、臍帯静脈内皮細胞では1.7倍に増加した。一方、BMPR-II遺伝子発現は低酸素培養により、肺動脈内皮細胞で0.6倍と有意に低下し、大動脈内皮細胞では0.8倍、臍帯静脈内皮細胞では1.4倍と変化した。 現在、免疫ブロット法を用いて、低酸素および通常培養の血管内皮細胞におけるBMPR-IAおよびBMPR-IIの蛋白発現解析を進めている。
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