2009 Fiscal Year Annual Research Report
拡張型心筋症の病態生理の解明-CD45シグナリングの心室リモデリングへの関与
Project/Area Number |
21790750
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前川 裕一郎 Keio University, 医学部, 助教 (90296575)
|
Keywords | 心筋症 / 炎症 / リモデリング |
Research Abstract |
予備実験により確認されたCD45の遺伝子欠損マウスにおける自己免疫性心筋炎発症抑制効果にっき心筋炎発症の頻度及び生存率の観点から検討を行い、個体数を増やし確認した。CD45遺伝子欠損マウス群(以下ノックアウト群)はコントロール群に比べて生存率については高い傾向を認めた(個体数ノックアウト群:66、コントロール群:65)。また心筋炎発症の有無に関する評価については、ノックアウト群において心筋炎の発症が有意に抑制された事が観察された。コントロール群およびノックアウト群それぞれに対し、心臓リモデリングの評価の一環として心臓超音波による心臓形態の評価およびマノメーターカテーテルによる血行動態の評価を第21日に行った。結果、心臓超音波にて計測された左室内径短縮率はノックアウト群において有意に高値であり、マノメーターカテーテルにより計測された左室収縮期圧はノックアウト群において高値であった。心臓リモデリングのメカニズムを明らかにするため、マッソントリクローム染色を行い心筋線維化に関する評価を行った。結果、ノックアウト群はコントロール群に比べ有意に線維化が抑制されている事を確認した。自己免疫性心筋炎の病態にはTリンパ球が密接に関与している事から、フロサイトメトリーを用いて末梢血中の全Tリンパ球数の測定を行った。結果、ノックアウト群はコントロール群に比べ有意に末梢血中のTリンパ球数が少ない事が観察された。平成21年度に実施した研究においてCD45遺伝子欠損は自己免疫性心筋炎発症の抑制および心筋炎発症後の心臓リモデリングを抑制する事を確認した。
|