2010 Fiscal Year Annual Research Report
拡張型心筋症の病態生理の解明-CD45シグナリングの心室リモデリングへの関与
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21790750
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前川 裕一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90296575)
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Keywords | 心筋症 / 炎症 / リモデリング |
Research Abstract |
平成21年度において確認されたCD45の遺伝子欠損マウスにおける自己免疫性心筋炎発症抑制効果につき心筋炎発症の頻度及び生存率の観点から更に検討を行い、個体数を増やし確認した。CD45遺伝子欠損マウス群(以下ノックアウト群)はコントロール群に比べて生存率については高い傾向にはあるものの、統計学的有意差は認めなかった(個体数ノックアウト群:90、コントロール群:80)。また心筋炎発症の有無に関する評価については、平成21年度より個体数を増やして検討した結果、ノックアウト群において心筋炎の発症が有意に抑制された事が観察された。また、CD45シグナリングの心室リモデリングの関与を心筋炎モデルとは別のモデルで検討するため、心筋梗塞モデルを作成し、生存率および血行動態の比較検討を行った。生存率については、心筋炎モデルと同様、ノックアウト群において生存率は高い傾向にあるものの、統計学的有意差は認めなかった。マノメーターカテーテルにより測定した左室拡張末期圧は、ノックアウト群で低値であった。また、マッソントリクローム染色を行い心筋線維化に関する評価を行った。結果、ノックアウト群はコントロール群に比べ非梗塞部の間質および傍血管領域において有意に線維化が抑制されている事を確認した。免疫組織染色により梗塞部へのマクロファージおよびCD3陽性Tリンパ球の浸潤の程度につき評価を行った。結果、ノックアウト群はコントロール群に比べ有意に梗塞部へのマクロファージおよびCD3陽性Tリンパ球の浸潤が抑制されていた。平成22年度に実施したCD45遺伝子欠損マウスを用いた研究において、CD45遺伝子欠損が自己免疫性心筋炎発症の抑制および心筋炎発症後の心臓リモデリングを抑制する事を再確認するとともに、心筋梗塞モデルにおいても同様の結果が得られる事を確認した。
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