2009 Fiscal Year Annual Research Report
気道電解質分泌に対するToll様受容体シグナルの調節機構の解明
Project/Area Number |
21790761
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉田 勉 Tohoku University, 病院, 助教 (80396473)
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Keywords | 気道粘膜下腺 / パッチクランプ / Toll様受容体 / アセチルコリン / 粘膜免疫 / 電解質分泌 / cGK / LPS |
Research Abstract |
気道粘膜でしばしば感染を引き起こすものとして一般細菌およびウイルスが挙げられる。今年度はグラム陽性菌由来のPGN、グラム陰性菌由来のLPSおよびウイルス由来のpoly(I:C)を用いて、それぞれの認識受容体であるTLR2、TLR4およびTLR3のシグナリングが気道分泌腺にどのような影響をもたらすのかを検討した。電気生理学的検索から、生理的低濃度のAChによって惹起される電解質分泌がLPSによって濃度依存性に増強することが確認されたが、PGNやpoly(I:C)ではそのような効果は認められなかった。LPSはTLR4の拮抗剤存在下では効果は発揮しないことから、LPSとTLR4の結合が重要であることが初めて確認された。我々はこの効果はEGFRを介している可能性を推定していたため、EGFRシグナリングで重要なTyrosine Kinaseを抑制することでこの効果が消失するかどうか検討した。しかしながら我々の予想に反してLPSによる増強効果は非特異的TK阻害剤であるGenisteinやHerbimycin Aでは抑制されなかった。我々の過去の報告から、気道粘膜下腺細胞はTK以外にも細胞内NO/cGKの系で分泌増強が得られることが証明されているため、今後はcGK阻害剤などによる抑制効果が認めらるかどうか検討予定である。 今年度は気道粘膜下腺におけるTLRサブタイプの発現も検討した。上記電気生理学的検索で検討したTLR2、TLR3およびTLR4に対してPT-PCRを行った。明らかな発現が認められたのはTLR4であり、TLR2は軽度発現のみで、TLR3は明らかな発現は認められなかった。 以上、電気生理学的検討および分子生物学的検討によって気道粘膜下腺からの電解質分泌に対する増強効果において最も重要サブタイプはTLR4であることが推測された。
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