2010 Fiscal Year Annual Research Report
気道電解質分泌に対するToll様受容体シグナルの調節機構の解明
Project/Area Number |
21790761
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉田 勉 東北大学, 病院, 助教 (80396473)
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Keywords | 気道粘膜下腺 / パッチクランプ / Toll様受容体 / アセチルコリン / 粘膜免疫 / 電解質分泌 / cGK / LPS |
Research Abstract |
昨年度我々はグラム陽性菌由来のPGN、グラム陰性菌由来のLPSおよびウイルス由来のpoly(I:C)を用いて、それぞれの認識受容体であるTLR2、TLR4およびTLR3のシグナリングが気道分泌腺にどのような影響をもたらすのかを検討し、TLR4が強く関与していることが示唆された。今年度はまずLPSとTLR4の結合が必須であることを確認するために、抗TLR4抗体にてブロックした系でLPSの効果を確認した。しかしながらLPSは増強効果を発揮することができず、やはりLPSの効果にはTLR4との結合が重要であることが示された。次にその細胞内メカニズムとしてNO/cGMP/PKGの経路の関与を検討した。電気生理学的検討によって、2種類の細胞内NO合成酵素阻害剤(L-NAME,L-NMMA)の前投与によってそれぞれLPSによる分泌増強効果が消失した。また細胞内PKG阻害剤であるKT-5823およびRp-8Br-cGMPの投与によってもそれぞれLPSによる分泌増強効果が消失した。このことから気道粘膜下腺細胞のTLR4刺激による分泌増強にはNO/cGMP/PKG系が強く関わっていることが明らかとなった。LPSは長時間作用すると様々な細胞においてiNOSの発現を誘導することがわかっているため、iNOSの関与を確認するために特異的iNOS阻害剤である1400WおよびL-NILの影響を検討した。今回の実験系においてはLPSの作用時間はわずか数分間であるためiNOSの関与は少ないものと推測していたが、やはり1400WもL-NILもどちらもLPSによる分泌増強効果に影響はしなかった。 またLPSが実際に細胞内NOの合成を促進するのかどうか、細胞内NO特異的蛍光色素であるDAF2-DAを用いた検討を行いはじめ、例数は少ないもののLPSにはNO合成促進作用がある傾向を得ている。 今年度は以上報告したように細胞内メカニズムに関する検討を数多く行い、統計処理によっても一定の方向性を検出することができた。
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Research Products
(3 results)