2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜脂質の酸化がカベオラの動態および肺線維化に与える影響
Project/Area Number |
21790762
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久田 修 Tohoku University, 高等教育開発推進センター, 助教 (60466571)
|
Keywords | 脂質代謝 / 肺線維化 / カベオリン / 核内受容体 |
Research Abstract |
肺は外気に直接接しており、環境因子の影響を受けやすいという臓器特性をもつ。一方、肺サーファクタントに代表されるように脂質・タンパク質の代謝を営む代謝臓器としての側面を有する。このような特性から、外的因子に対する宿主の反応性に、脂質などのエネルギー代謝が関与する事が予測される。本研究は、肺線維化に焦点を当て、肺における脂質代謝の一部を解明する事を目的としている。 初年度は、培養細胞を用いて、脂質が肺線維化に与える影響を明らかにする事を目的とした。肺線維芽細胞であるMRC-5細胞にTGF-βを加え、筋線維芽細胞への分化に与える各種脂質の影響を検討した。培養液に各種脂質を加え、筋線維芽細胞への分化を検討したが、コレステロールなどの脂質は不溶性である事から実験系の確立ができなかった。そこで、細胞内コレステロールや脂肪酸を制御するPPARやLXRなどの核内受容体と肺線維化との関連につき検討を加える事にした。PPAR・LXRのアゴニストおよびアンタゴニストをMRC-5に加え、筋線維芽細胞の分化に与える影響を検討した。その結果、PPARγやLXRのアゴニストにより、MRC-5の筋線維芽細胞への分化が抑制された。さらに、カベオリン1の発現も変化する事が示された。以上の事から、PPARγやLXRなどの脂質代謝関連核内受容体が、カベオリン1の発現調節を介して線維化に関与する可能性が示された。 今後は臨床応用を視野に入れ、フィブラート系薬剤やスタチンなどが肺線維化に与える影響を検討する。さらに、肺線維症やCOPDなどの病理検体を用いて、脂質代謝関連核内受容体、カベオリン1の発現の解析を進める予定である。
|