2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性中皮腫の新予防・治療法の開発のための基礎研究ーAMPK活性化の重要性
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21790763
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牛 凱軍 東北大学, 大学院・医工学研究科, 准教授 (70447134)
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Keywords | 悪性中皮腫 / AMPK活性 / AICAR / SCIDマウス / 細胞周期 / アポトーシス |
Research Abstract |
去年度まで,in vitro(6種類のヒト悪性中皮腫細胞)及びin vivo(ヒト悪性中皮腫の皮下モデル)を用い,AMPK活性剤であるAICARの投与が細胞の増殖とマウス皮下での成長の抑制効果を見出した.今年度ではもっと臨床に近いモデル(胸腔モデル)を作成し,AICARはモデルマウスの生存率に対する影響を検討した.更に皮下モデルの癌組織を用い,AICARの投与がin vivoの細胞の増殖指標であるki67の組織免疫染色分析なども行なった. まず,胸腔モデルを作成するために,胸腔の中で成長できる細胞の種類の検討を行なった.それから,どれぐらいの細胞を投与すればいいかを検討した.結果として,6種類の細胞の中に1種類だけSCIDマウス胸腔の中で生長できることを確認した.更に10^5 cells/マウス,10^6 cells/マウス及び10^7 cells/マウスの3細胞濃度でSCIDマウスに投与したところ(5匹/群),別々の生存期間の中央値(範囲)は40日(35-50日),29日(25-33日)と20日(13-29日)であった.臨床では悪性中皮腫の生存期間がきわめて短いことから,10^7 cells/マウスの細胞投与量がAICAR投与の試験に使われた.マウスの胸腔に悪性中皮腫細胞を注入し,5日後から,1kg体重あたり100mgのAICARを毎日投与した.対照群では等量の生食を投与した.生存期間を評価したところ,対照群の生存期間の中央値(範囲)は20日(15-22日)であった.これに比べて、AICAR投与群の生存期間の中央値(範囲)は29日(22-33日)であった(P<0.05)。 皮下モデルの組織免疫染色分析(ki67染色)に関しては対照群に比べ,AICAR投与が約40%の組織内の細胞の増殖を抑制したことが分かった. 以上の結果から,AICARがヒト悪性中皮腫のin vivoでの成長を抑制しただけではなく,生存期間の延長にも役立つことが示唆された.これらの結果を踏まえ,メカニズムを完全に解明する上で悪性中皮腫への臨床応用の開発へ進むことができる.今後,皮下モデルの癌組織を用い,AICAR投与がメカニズム解明として,癌組織のアポトーシス及び関連のあるタンパク質に対する影響を解析する予定である.
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Research Products
(2 results)