2009 Fiscal Year Annual Research Report
非小細胞肺癌の進展における血管新生と血管内皮前駆細胞の関与
Project/Area Number |
21790765
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 一洋 Akita University, 大学院・医学系研究科, 助教 (30436191)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞 / 非小細胞肺癌 / 腫瘍血管新生 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
非小細胞肺癌の増殖や転移において腫瘍血管が重要なことは知られている。血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell:EPC)は腫瘍血管へと分化する細胞であるが、EPCが肺癌の進展とどのような関連を持っているかはわかっていなかった。我々は、EPCが肺癌の増殖や転移に大きな役割を担っていると推測した。そこで、EPCが血管新生のマーカーとなりうる細胞と考え、腫瘍組織型、分化度、進行度との関連を検討した。さらに、治療効果とも関連があるのではないかという仮説を立て検証を行った。 治療前の非小細胞肺癌患者の末梢血よりEPCを採取し、その数を測定した。同時にEPCに関与するVEGF-A、IL8などのサイトカインの測定をした。そしてこれらのマーカーと癌の組織型や分化度、腫瘍サイズなどの背景因子、および治療効果や予後など治療関連因子との関連を統計的に検討した。 結果、EPCは腫瘍サイズが大きいほど低値となっており、EPCが腫瘍の増大の際に血管への分化のため消費されていることが示唆された。そのほかの組織型など背景因子とは明らかな関連をもっていなかった。 治療効果とEPC数の関連としては、EPC数と化学療法の治療効果に強い相関が証明された。これは、非小細胞肺癌患者において化学療法施行前のEPCが、その治療の抗腫瘍効果を予測する因子となることを示唆するものである。これまで、癌治療の効果を予測しうる因子の報告はほとんどなく、今後の癌治療において大きな功績となると思われる。さらに、今後EPCを抑えることが化学療法の効果を増強させる可能性を示唆するものでもあり、この研究のさらなる発展が期待できると思われる。
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