2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌ペプチドdefensinの炎症性疾患への関与に関する研究
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21790766
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 泰弘 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任講師(病院) (60376473)
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Keywords | 免疫学 / 応用動物 / 微生物 / 低体重 / 肺気腫 / defensin |
Research Abstract |
抗菌ペプチドdefensinは、その強い抗菌活性により自然免疫のエフェクター因子として機能している。私は、human β-defensin-3 (hBD-3)のマウスホモローグであるmouse β-defensin-14 (mBD-14)の遺伝子欠損マウスを作成し、defensinの生理的意義を探ってきた。我々は、hBD-3の強い細胞障害性から、hBD-3やmBD-14の抗腫瘍効果に注目した。興味深いことに、mBD-14遺伝子欠損マウスでは、肺腺癌細胞LLC接種後早期に腫瘍径の増大の促進されていることが観察された。また、LLC細胞を野生型マウスの皮下に接種後、高濃度のmBD-14ペプチドを局所に持続投与すると、腫瘍の増大を有意に抑制することを観察した。一方、これまで、炎症局所におけるdefensin濃度の上昇が報告されている。我々は、mBD-6の過剰発現マウスを作成し、過剰なdefensinの病態生理学的意義についても探っている。mBD-6過剰発現マウスは、低体重、筋線維の変性を呈したが、我々は、その肺機能をさらに詳細に解析した。mBD-6過剰発現マウスは、肺実質や気道病変を支持する静肺コンプライアンスの異常や0.1秒率の異常を示さなかったが、神経筋疾患に相当する変化を示した。これらの所見に関連して、ヒトにおいて、COPDなどの肺疾患を合併しない患者の肺機能検査所見とBMIを調査した。BMI<17.0の著明な低体重を示す患者は、正常体重の患者と比較して、一秒率の有意な上昇、残気率の上昇、DLCO/VAの有意な低下を示した。これらの所見は、mBD-6過剰発現マウスの所見に類似していた。COPD患者の栄養療法の重要性が提唱されているが、低体重そのものが肺機能に及ぼす影響についての報告は少なく、臨床的にも重要な知見と思われる。
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Research Products
(2 results)