2010 Fiscal Year Annual Research Report
トリインフルエンザ制圧に向けたインフルエンザM2特異的ヒト抗体の単離と機能解析
Project/Area Number |
21790767
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小澤 龍彦 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (10432105)
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Keywords | インフルエザ / M2 / 抗体医薬 |
Research Abstract |
本研究は、我々が開発した「リンパ球チップ」という新しい抗体医薬戦略を用いて、トリインフルエンザウイルスを制圧する画期的な抗体医薬開発の基礎研究を目的とする。即ち、(1)トリインフルエンザウイルスを含むA型インフルエンザウイルスに共通して発現し、かつ抗原性変異が少ないマトリックスタンパク2(M2)に対するヒト抗体を作製する。(2)さらにそれら抗M2ヒト抗体の機能解析を通して、in vitroにおける中和能の検討を行う。 平成22年度は平成21年度に得たAb1-10の機能解析を主に行った。研究実績は以下の通りである。 1.Ab1-10が様々なA型インフルエンザと結合する事を調べるため、季節性のH1N1 (A/NewCaledonia/20/99)、同じく季節性のH3N2(A/Panama/2007/99)、トリ型であるH5N1(A/Vietnam/1194/04)、2009年に流行したHIN1(A/California/7/2009)の4種類の不活化ウイルス抗原と結合するかをウエスタン法により検討を行った。その結果、いずれのウイルス抗原と結合することが明らかになった。 2.Ab1-10がどのアミノ酸を認識するかを調べるため、1アミノ酸ずつアラニンに置換したM2変異体発現プラスミドを作製し、哺乳類細胞に発現させ、その結合性をフローサイトメーターを用いて解析した。その結果、セリン2、ロイシン3、スレオニン5が結合に必須であることが示された。 3.Ab1-10が抗ウイルス能を持っているかを調べるためin vitroにおいてプラークアッセイを行った。その結果H1N1(A/PuertoRico/8/1934)及び2009年型のHIN1(A/Osaka/132/2009(HIN1))ウイルスのプラークが大きくなることを阻害することが示された。
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