2010 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞型睡眠時無呼吸症候群における病態多様性と新たな治療戦略―非線形解析を用いて―
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21790781
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30405378)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 非線形解析 / 呼吸制御システム / CPAPアドヒアランス |
Research Abstract |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の標準的治療法である経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)の代替的あるいは補助的な治療法としての薬物治療の可能性を探求する目的で、覚醒安静時においても無呼吸を含む不規則呼吸を呈するC57BL/6Jマウス(無呼吸モデルマウス)に胃から産生されるペプチドホルモンであるグレリンの腹腔内投与を行った。C57BL/6Jマウスにおいて、グレリンには呼吸刺激作用があり、さらに安静時の呼吸不規則性は改善する傾向を認めている。現在さらなるデータの集積を行っている。 また臨床研究としては、OSASの病態の多様性を明らかにする目的で、診断的終夜睡眠ポリグラフ検査より、閉塞型無呼吸優位のOSAS患者(pure-OSAS;n=36)、混合型無呼吸優位のOSAS患者(mix-OSAS;n=20)、コントロール(control;n=10)、およびチェーンストークス呼吸を含む中枢性無呼吸優位のCSAS患者(pure-CSAS;n=6)の4群を抽出した。それぞれの群における入眠前安静時の呼吸信号時系列波形解析を行ったところ、mix-OSASでは、線形指標(変動係数)、および非線形指標(Sample Entropy)はpure-OSASおよびcontrolに比較して有意に高値を示し、pure-CSASとは同等であった。さらにCPAPアドヒアランスは、mix-OSASではpure-OSASと比較して有意に悪かった。以上より、現在では混合型無呼吸は閉塞型無呼吸の亜型と言われており、両者とも診断名はOSASとなるのであるが、覚醒安静時呼吸信号線形・非線形解析より両者で呼吸制御システムに差異がある可能性があり、またそのことはCPAP治療のアドヒアランスに影響することが示唆された(CHEST in press)。
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Research Products
(5 results)