2011 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞型睡眠時無呼吸症候群における病態多様性と新たな治療戦略-非線形解析を用いて-
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21790781
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30405378)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 非線形解析 / 呼吸制御システム / CPAPアドヒアランス |
Research Abstract |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)において、覚醒時安静呼吸の不規則性がOSASの病態多様性、さらには経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法の治療効果を反映することを明らかにした。すなわち、混合型無呼吸が頻回に観察されるOSASの一群では、閉塞型無呼吸が優位な従来のOSASに比較して、覚醒時安静呼吸の不規則性を表す線形指標(変動係数)および非線形指標であるSample Entropyは有意に高値を示した(Chest 2011;140:54-61)。 さらに、上述のような混合型無呼吸が頻回に観察されるOSASは比較的希少な一群であるため、覚醒時安静-呼吸波形から得られる不規則性指標が、いわゆる従来のOSAS(閉塞型無呼吸が優位)におけるCPAPのアドヒアランスを予測できるか否かを検討した。終夜睡眠ポリグラフ検査で無呼吸低呼吸指数(AHI)が20以上のOSASと診断されCPAPが処方された患者380人から、6ヶ月以内にCPAPを中断した患者27人(アドヒアランス不良群)、年齢、肥満度、およびOSASの重症度をマッチさせたアドヒアランスが良好な患者21人(アドヒアランス良好群)を抽出した。両群間で覚醒時安静呼吸波形解析を行ったところ、アドヒアランス不良群では、一呼吸毎の1回換気量の変動係数は有意に高値を、また非線形指標であるmutual informationは有意に低値を示した。これらの結果は、CPAPを中断した患者では、一呼吸毎の呼吸深度が不規則であること、呼吸波形は複雑であり予測しがたいことを示唆していた(under review)。 以上のふたつの臨床研究から、覚醒時の呼吸波形解析から得られる線形・非線形指標はOSASの多様性を反映するだけでなく、CPAPの治療反応性をも予測できる新たな指標であることを提案することができた。
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Research Products
(7 results)