2009 Fiscal Year Annual Research Report
標準化半定量Real-time PCRを用いた呼吸器感染症の包括的迅速診断法
Project/Area Number |
21790784
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
平間 崇 Saitama Medical University, 医学部, 助教 (80510338)
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Keywords | 肺炎 / HIRA-TAN |
Research Abstract |
本研究の目的は,HIRA-TANの診断能力を多施設前向き試験で検証しようというものである. HIRA-TANは肺炎を起こす原因微生物20種類にたいし,real-time PCR法を用いて迅速に起炎菌を同定する方法である.肺炎をおこす原因微生物は,培養できるもの/できないもの,特殊染色や特殊培養の必要なもの,培養に数週間時間を要するもの,遺伝子増幅法でないと診断できないもの,などさまざまあり,通常,肺炎の原因微生物を同定することは非常に労力と時間を要する.しかしHIRA-TANではこれらに対し1回の検査で包括的かつ迅速な起炎菌診断ができる方法である.平成21年2月から平成22年3月にかけて(現在も継続中),既存の起炎菌診断方法とHIRA-TANを用いた起炎菌診断方法を比較する臨床試験を実施した(埼玉医科大学倫理委員会:申請番号08-063,UMIN試験ID 000001694).観察期間内に肺炎症例は350例登録された.そのうち,既存の方法では54%の症例で起炎菌診断ができたのに対し,HIRA-TANでは68%の症例で4時間以内に起炎菌診断ができた.また今回の試験でとくに注目したインフルエンザ菌と緑膿菌の検出能力は既存の診断方法と比較しても有意差がないものであった.以上より,HIRA-TANは,通常の診断法で検出できる病原体に対しては既存の診断法と同等の診断能力を有し,かつ培養等が困難な病原体もふくめた包括的検査であることが証明される.将来的には,正確に起炎菌診断が迅速にできることで,適切な抗菌薬への変更や医療費抑制にも望みをもてる検査法である.
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