2011 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍壊死因子の誘導する肺障害における上皮成長因子受容体トランス活性化機構の検討
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21790788
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山岡 利光 昭和大学, 腫瘍分子生物学研究所, 講師 (40384359)
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Keywords | EGFR / TNF-alpha / apoptosis / TACE |
Research Abstract |
特発性間質性肺炎、肺線維症といった非特異的慢性炎症性肺疾患は罹患率が高く、その急性増悪は致命率が高い。しかしながら、この疾患の成因、増悪の機序は今だ解明されておらず、確たる治療法も存在しない。炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)は、これらの疾患の成因や増悪に中心的な役割を果たしていると推測されている。また、上皮成長因子受容体(EGFR)を含むErbB受容体はTNFによりトランス活性化を受け、細胞をアポトーシスから回避し細胞障害を抑制する事が報告されている。しかし、この分子機構は不明な部分が多い。本研究では、TNFによるErbB受容体トランス活性化の分子機構を明らかにする。さらに、TNFを肺組織特異的に高発現させたトランスジェニックマウスが肺線維症に移行する過程において、TNFによるErbB受容体トランス活性化シグナルの果たす役割について検討する。 EGFRは上皮性悪性腫瘍のみではなく正常肺組織でも発現しており、細胞・組織の恒常性維持という役割を担っている。肺がん治療薬として用いられるEGFR阻害剤Gefitinibの急性肺障害が大きな問題となっているが、Gefitinibの正常肺組織に及ぼす影響や肺障害におけるTNF-EGFRシグナルの関与については、これまで明らかにされていない。本研究では、TNFにより誘導されるErbB受容体のトランス活性化シグナルに焦点を当て、炎症性肺疾患の病態や急性増悪に及ぼす影響を明らかにすることを特色とする。本研究により、EGFR阻害剤の正常肺組織に及ぼす影響と肺障害を誘導する分子機構が明らかになると考える。さらに、特発性間質性肺炎、肺線維症といった難治性慢性炎症性肺疾患の治療指針に重要な示唆を与える結果が得られるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究は、前半の細胞株を使用した研究がほぼ修了し、現在、後半のトランスジェニックマウスを使用した研究を施行している。後半の研究は来年度の終了見込んでおり進捗状況に問題はないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、現在後半部分のトランスジェニックマウスを使用した研究を施行中である。前半部分の細胞株を使用した研究をマウスモデルに応用している。後半部分のマウスを使用した研究が終了次第、論文として報告する予定である。
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Research Products
(3 results)